5月号

ベトナム元気X躍動するアジア 第17回|ホーチミン市の地下鉄に乗車― 日本の技術とサービス
神戸商工貿易センタービルにおいて四月十五日に、駐日ベトナム大使館ファム・クアン・ヒエウ大使による講演会「ベトナム経済の最新情報と今後の日越協力関係の展望」が開催(ひょうご・神戸国際ビジネススクウェア主催)。講演中、ホーチミン市の地下鉄に試乗したベトナム共産党トー・ラム書記長が、日本の技術とサービスを高く評価したと紹介されました。今回は、その私の乗車体験を紹介してみましょう。
文・ 上田義朗
日本スタイルで乗車しやすい
ホーチミン市のメトロ(地下鉄)1号線は日本の円借款で主に建設され、昨年末から開業。私は「市民劇場」前から乗車したが、改札口と地下道に既視感を覚えた。日本人が見て、日本の協力で施工されたことが直ちに理解できたが、それは思い過ごしであろうか。
乗車はクレカのタッチ
外国の公共交通を利用する場合、乗車券の購入に手間取る。対面式だと相手は人間だから何とかなるものだが、券売機の初めての利用は容易でない。しかしホーチミン=メトロは簡単。ビザかマスターのクレカのタッチ機能を使えばスッと扉が開く。ただし携帯電話のタッチは利用できなかった。クレカ未所持の場合、メトロ専用のカードも作れるようだ。もちろん普通に現金で乗車券も買える。
開放感ある車内と円滑な走行
平日の午前中であったが、ほぼ車内は満席。ただし往復ともに席を譲ってくれるベトナム人がいた。私が白髪混じりの高齢者が理由だと思うが、単純に嬉しい。一般にベトナムでは「儒教」的な価値観が今も健在といわれる。日本に比べると……とは考えないことにしよう。
車両の走行は円滑で最高速八〇キロ、プラットフォームには転落防止壁があり、到着時刻表示は上と下に直近と次の予定、真ん中に現在の時刻がデジタル掲示される。
ホーチミン市の発展を牽引する
このホーチミン=メトロの延伸計画が駅内に掲示されており、そのネットワークは現在のタンソンニャット空港やクチの方面にまで拡大している。農地や荒れ地が住宅地に変貌することは、日本のみならず韓国ソウル市でも経験済み。同時に交通渋滞の緩和にもなる。ベトナム発展の可視化の端緒がメトロ開業とみなされる。
上田義朗(うえだ よしあき)
流通科学大学名誉教授
日本ベトナム経済交流センター副理事長
外国人材雇用適性化推進協会(ASEO)代表理事
合同会社TET代表社員・CEO