7月号
出会いと学びの旅から Vol.19
ベテルの町の忘れられない人たち
ベテルは私が日本にいた頃から1度訪れてみたい町の一つでした。ビーレフェルトという町の近くにベテルはありました。この町は最初、ボーデルシュビングさんという一人の牧師が5人のてんかんの子どもを農家に引き取り、一緒に生活を始めたのがはじまりと言われています。1867年のことですからもう150年あまりも前になります。私が訪問した頃は1万人ほどの人たちが暮らしており、そのうち3000人ほどが障がい者で、お世話をする修道士や修道女も暮らしていました。広報担当の職員に半日ほど案内していただいたのですが、一つの町なので、歩いて見て回るだけではよくわからなかったため、私はこの町に数ヶ月間滞在し、旅行者としてではなく、生活者としてこの町を知りたいと思いました。ドイツ語が全くわからないので働くのは断られましたが、ねばった交渉の結果、マハナイムという、比較的重い知的障がいのある男性が生活している施設でボランティアとして住み込みで働けるようになりました。この町には70ヵ所ぐらいの施設があり、それぞれの施設には旧約聖書からとった名前がつけられています。他の町と同じようにスーパーマーケット、郵便局、病院、本屋、理髪店、学校、教会、などがあり、障がい者と一般の人たちが共存して暮らしているコミュニティとして知られており、日本からも多くの医療や教育、福祉関係者が訪れています。
私が働いていたマハナイムは35人のパチェンテン(患者)と呼ばれる重い知的障がいの若者から高齢者までが暮らしており、彼らの日常の介護、というか日常の身の回りのお世話が私の毎日の仕事でした。すなわち、食事、風呂、排泄、洗濯、掃除、外出介助などです。ドイツ語がわからなくても人間同士なのでなんとかなりましたが、言葉を覚えようと書店でドイツ語と英語の辞書を買って勉強しました。3ヶ月間、マハナイムで働きましたが、ここでの経験は大変貴重な私の財産となりました。
(次号へ)
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