2025年
7月号
7月号

神戸のカクシボタン 第139回 地元にまつわる妖怪・UMA・生物の謎を探る!!『ひょうご五国の怪物たち 播磨・めっかい』
オカルト好きの入り口はTVアニメ「まんが日本昔ばなし」だった。子供らしくなかった私は「面白い話」ではなく「怖い話」を好んだ。中でも「播磨のめっかい」がお気に入り。
福島県では長者の家に白羽の矢が立つと娘を人身御供に捧げる習慣があった。相談を受けた富山の薬売りがお堂に潜入したところ正体不明の化け物たちが口々に「播磨のめっかい」を恐れていた。それを聞いた薬売りは播磨で「めっかい」と呼ばれる赤毛の強犬を引き連れ、鎮守様に成りすました猿の妖怪「狒々」を退治した。この猿が神に化け退治される伝説は全国的に存在する。江戸時代の地誌「播磨鑑」によると犬飼村(姫路市香寺町犬飼)では御師が伴犬と共に大猿と化した狸を退治した伝承がある。
では「めっかい」とはどんな犬種か?様々な諸説があり「瑪瑙」と呼ばれる宝石が語源とも言われているが、各地に生息していた地犬と推測される。昨年、都内の中学生が国立科学博物館の研究チームと共に「ヤマイヌの一種」として保管されていた剥製が「ニホンオオカミ」(国内4体目)であることを発見した。私自身もニホンオオカミを取材で追いかけて20年になる。ヨーロッパでは羊の天敵として悪者扱いされる狼も日本では農作物を荒らす動物を捕食することから「犬神」として信仰されている。明治を最後に国内から姿を消したニホンオオカミが「めっかい!?」と仮説を立て心躍る50歳。最後に一言、知らんけど。

国内にあるニホンオオカミの剥製
岡力(おか りき)
放送作家・コラムニスト・イラストレーター、ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆、番組を企画。日本放送作家協会関西支部事務局長・大阪芸術大学短期大学部客員教授、心斎橋大学・神戸電子専門学校講師。