7月号

瓦と「家」とのつながりを再解釈 | 淡路瓦×TDRI | ひょうご国×台湾
台湾のデザイン事務所「KEV Design Studio」デザイナー・周育潤さんと国立台湾師範大学の学生が「タツミ」と連携し、「家」との繋がりを探求する作品を提案。淡路瓦特有のいぶし銀の輝きや色持ち、鬼瓦の彫刻技術を活かした暮らしの道具を制作した。
ボツボツの音-瓦技術を活かした傘立て
瓦に落ちる雨音「ボツボツ」から着想を得たユニークな作品。下部は雨水が自然に流れ込む仕組みが施され、フレームには職人が手がけた雲の装飾や縁起の良い宝珠形のパーツをプラス。鬼瓦の彫刻技術を活かし、雲や宝珠形の装飾を取り入れることで、伝統工芸を機能と造形美を兼ね備えた現代的なインテリア用品へと昇華させた。

職人が手がけた雲の装飾がデザインのアクセントに

雨上がりの香りまで感じられるような懐かしい風景を呼び覚ます
香る瓦-収納付き瓦の線香台
淡路瓦と「家」との繋がりを探求するなか、淡路島の線香に着目し、香りの文化を瓦に託した。淡路瓦の造形美が活きる線香の台座に、下部には線香など小物の収納スペースも。瓦を積み重ねることで伝統的な屋根の風景を思わせる佇まいを生み出しながら、基台には不良瓦を粉砕・再生した瓦を用いるなど、環境にも考慮。

淡路瓦を小型化した台座の下部は線香などの収納スペースとなっている

基台には再生瓦を用いて、配置の自由度と実用性を両立させた
家を繋ぐ鍵-玄関に灯るモジュール式キーラック
屋内と屋外をつなぐ玄関に着目し、実用性と温もりを兼ね備えたキーラックを創作。淡路瓦の屋根の形を模したデザインで、伝統工芸を身近な存在として再認識する機会を生み出す。鍵を掛けるとLEDが点灯し、帰宅する人を優しく迎える仕組み。モジュール式構造でパーツの増減が可能なため、住宅の規模や用途に応じた使い方が可能。

鍵を掛けるとLEDが点灯。柔らかな光が灯ることで、家に帰る安心感を演出している

屋根瓦を日常用品に取り入れ、伝統工芸を身近な存在にする試み
タツミ×KEV Design Studio+国立台湾師範大学学生チーム
KEV Design Studio 周育潤さん、国立台湾師範大学 文唯聿さん、郭玟慧さん、蔡宗桓さん、李詩元さん、楊博宇さん
About タツミ
「鬼瓦」や「鍾軌さん」からインテリア小物まで、専門職人・鬼師が手づくりで様々な商品を製造。淡路島の瓦製法をもとに、これまでにない新しい建材製品を創出する淡路瓦プロジェクト「oiya」の窯の一つでもある。

興津祐扶さん