7月号

ベトナム元気X躍動するアジア 第19回|世界遺産ハロン湾―レベルアップした魅力
ベトナム北部観光の定番は世界自然遺産に認定されたハロン湾。高速道路でハノイから休憩を入れて3時間ほどの距離です。ハノイを早朝から出発する日帰り観光も可能ですが、夜のハロン湾を楽しむためにも少なくとも1泊旅行がお勧めです。同湾が位置するクアンニン省の発展戦略にも注目です。今回は、ハロン湾観光の1泊コースを念頭にして現地情報を紹介します。
文・ 上田義朗
ハロン湾の海産物市場は穴場
ハノイからハロン湾に至る高速道路は快適。途中の休憩所では軽食やお土産もEV充電スタンドも完備。宿泊ホテルのチェックイン前に海産物市場の訪問を勧めたい。ここは観光客と地元消費者の双方が利用し、鮮魚や冷凍魚から乾物や加工品・調味料まで何でも揃う。外国人観光客では中国・台湾・韓国が中心で日本人は見かけなかった。ハロン湾特産の小さな「足長タコ」は「活け造り」にすると珍味だろう。
多彩な夜間のクルーズ船
ハロン湾の夜間クルーズは午後6時前から次々に出港する。船上から陸上方面を見れば、「ポートタワー」もあって神戸港を想起させる。ホテル壁面のLED照明も鮮やか。
船上ではビュッフェ形式の夕食が提供され、各船で異なるイベントが開催される。写真は「対空砲火」のような花火の打ち上げ。また私の船では、大音響のDJ音楽でダンサーに合わせて観客も踊り始める。子ども連れや静かな雰囲気を楽しむ場合、事前にイベント内容を確認した方がよいだろう。料金は1人四千円から六千円。「安いベトナム」は幻想である。いくつかのホテル内のカジノは深夜まで開設され、国際観光都市の要件を備えている。
翌日の午前中には、より小さな船で島を巡り、上陸した島の洞窟を探索する。その間に船上で海鮮料理が提供される。これは古くからの伝統的なクルーズである。
ハロン市・クアンニン省の発展戦略
ハロン湾を含むハロン市はクアンニン省の省都。同省には、古くから有名な無煙炭の産地ホンゲイ地区が含まれるが、二〇一八年にはヴァンドン経済特区が設置され、税制優遇措置などが適応されている。カジノ開設が認められ、民間企業サングループが国際空港を運営し、中国国境にも近い。山林地帯では木材加工や木炭生産もされている。隣接する中央直轄のハイフォン市に続いて次はクアンニン省の発展とみなされる。
【訂正】六月号の「ビンコムメガモール」の記述を「ビンコムプラザ」に訂正します。
上田義朗(うえだ よしあき)
流通科学大学名誉教授
日本ベトナム経済交流センター副理事長
外国人材雇用適性化推進協会(ASEO)代表理事
合同会社TET代表社員・CEO