2017年
6月号
6月号
牧場のめぐみから生まれた極上チーズ「フロマージュ・フレ」|神戸の“美味しい”くらし
弓削牧場
牧場の入り口は住宅街の中にある。門を抜けると木々や畑、牧草地に牛舎が見え、時間の流れがゆっくりと切り替わる。「弓削タイムって言うんです」 奥様の和子さんは笑う。約50頭の牛たちは、仔牛のころから搾乳期を迎えるまで24時間放牧され、それぞれが自分の意思で過ごしている。毛艶がよく、健康なのは一目瞭然。そんな牛たちの乳が、新鮮なままチーズに生まれ変わる。
弓削さんがチーズづくりを始めたのは1984年。当時の日本ではまだナチュラルチーズの製造をしているところがほとんどなく、海外から取り寄せた資料を訳すことから始まった。時には子どもたちが寝静まった夜中まで実験を繰り返し、自己流のチーズ作りは続く。試行錯誤の末、出来上がったのは、目標としていた「カマンベールチーズ」ともうひとつ。オリジナルチーズ「フロマージュ・フレ」だった。
「フロマージュ・フレ」は、豆腐にも似たフレッシュチーズ。その美味しい食べ方を紹介したい、との思いから1987年には場内にチーズハウス「ヤルゴイ」をオープン。メニューには、自家製のチーズ、ミルクのほかに、ホエー(乳清)を使った家庭料理や自家製の野菜やハーブが揃う。
近年、取り組んでいるのは、牛ふん尿をエネルギー利用するバイオガス。ガスは温室などに使い、野菜づくりに利用している。資源循環も担うのは「酪農家だから」と話す。
弓削牧場
神戸市北区山田町下谷上西丸山5-2
078-581-3220