7月号

美しきかな ひょうごの文化財|第十九回|尼崎市内に現存する最古の煉瓦造洋風建築|旧尼崎紡績本社事務所(前ユニチカ記念館)
1889(明治22)年、尼崎紡績が設立され、現在の尼崎市東本町に工場建設が始まった。竣工時の内覧会には、尼崎初の近代的大工場を一目見ようと約3万人が集まったと記録されている。その後、第2、第3工場、続いて1900(明治33)年、本社事務所が竣工した。事務所については設計・施工者の資料は残されていないが、工場と同じく、関西を中心に活躍した建築家・茂庄五郎設計、施工は錢高組であった可能性が高いと推測されている。
1945(昭和20)年の空襲で工場はほとんど焼失。奇跡的に戦火を免れた本社事務所建物は1959(昭和34)年、歴史的資料を収蔵・展示する記念館として整備され、2019(令和元)年まで一般開放されていた。2023(令和5)年3月、尼崎市が取得し、現在は市立歴史博物館が管理している。2026(令和8)年、国登録有形文化財に登録が決定した。
延床面積約571平方㍍、煉瓦造2階建、木製小屋組、寄棟瓦葺。煉瓦には堺産、一部に岸和田産の刻印が確認できる。焼成された黒煉瓦が基礎部分に使われ強度を高め、玄関横の壁ではデザイン性を高めている。記念館への改装時に室内は大幅に変更されているが、明治の洋風建築として評価の高い木製階段、4基残されている暖炉、2階旧貴賓室の天井など、一部は竣工当時の趣を残し保存されている。
敷地は開放(10時~16時30分、悪天候時閉鎖)、建物内は非公開、随時見学会実施。

イギリス積みと呼ばれる方法で煉瓦を積み、アーチ型の窓が並ぶ

明治の趣がそのまま残る木製階段

アーチ型の窓を建物内から見る

暖炉のレリーフ。4基残る中で唯一装飾されている(旧貴賓室)

鉄板をプレスし、ホーロー加工された天井(旧貴賓室)
※前ユニチカ記念館から尼崎市に寄贈された歴史資料が修復され、7月11日~9月6日、尼崎市立歴史博物館で企画展開催。同期間中、建物内見学会を実施予定
旧尼崎紡績本社事務所
尼崎市東本町1丁目50番地
尼崎市歴史博物館
尼崎市南城内10番地の2
TEL.06-6489-9801












