7月号
明石のタコや丹波の鹿・猪など 神戸には素晴らしい素材が満載
革命的な発想の懐石風イタリアンを生み出し、日本にイタリア料理を根付かせた片岡シェフ。
料理教室終了後に、神戸への想いや神戸グルメに関する感想をうかがった。
…2014年12月に神戸店がオープン、料理教室は2015年6月にスタートして今で丸2年とか。
僕の料理教室は、レシピ通りにしないのが特徴です(笑)。季節はもちろん、食べる人や作る人、またその日の気持ちや体調によって好みの味って変わるでしょう。レシピは基本だけれど、そのときに合わせてメニューを変えても、美味しさが変わらないよう、コツやポイントをしっかりと伝えていきます。
…野菜、魚介類は出来るだけ地場の生産者から仕入れ、イタリアからの輸入食材も質の良いものにこだわって創るのがアルポルトのこだわり。「アルポルト神戸」でも料理長が中央市場に自ら買い付けに行かれるとか。神戸の食材について、どう思われますか。
明石鯛、明石蛸、瀬戸内や淡路島の魚介に、神戸ビーフをはじめとする肉類、野菜、どれをとっても素晴らしいと思いますね。しかも近郊でとれるから新鮮。東京よりも素材には恵まれていると思います。
…片岡シェフといえば、「イカスミのパスタ」に代表されるパスタ料理が特に有名です。
だから今、明石蛸のスミを利用した料理ができないか考案中。イカのように甘味や旨味成分がないから難しいけれどね(笑)。僕はイタリアンに昆布やカツオなど和の素材を多用して、日本人の僕たちにしかできないイタリアンを作りたいと思っています。本場イタリアの味を作っても真似するな!と怒られちゃうでしょう。
…例えば、神戸でしか出来ないイタリアンってありますか。
丹波の鹿や猪、ウサギなどジビエを使った料理はどうかな。鹿肉の舌にまとわりつく旨みを活かしたレアステーキとか、栗を食べて育った猪を使った栗のリゾットとかも美味しいだろうね。
…最後に港町・神戸の読者に向けて、イタリア語で「港にて」という意味を持つ「アルポルト」のオーナーシェフとしてメッセージをお願いします。
「港」に込められた「ひとつの物事のはじまり(出港)と終わり(帰港)、さらには人生の出発、そして終着」という意味が好きで、店名に選びました。海外に開かれた港町・神戸にある「アルポルト神戸」で、いい人生のひとときを過ごしていただければ嬉しいです。神戸の食材、四季の旬、和のおもてなしの心を盛り込んだ「アルポルトのイタリアン」をお楽しみください。
■アルポルト神戸
078-391-6771
神戸市中央区中山手通3-1-19
神戸トアロードホテル山楽B1F
11:30~15:00(L.O.14:00)
18:00~22:00(L.O.21:00)
水曜定休
イタリア料理『アルポルト』
オーナーシェフ
片岡 護 さん
1948年生まれ。1968年、日本領事館の総領事付き料理人としてイタリア・ミラノに渡り、各地の名店で修行。帰国後、『マリーエ』の料理長などを経て、1983年、西麻布に『リストランテ アルポルト』を開店。日本での本格イタリア料理の草分け的存在。2015年、「現代の名工」に選ばれる。著書も数多く、若き料理人達の憧れのシェフとして数多くの料理人を輩出