7月号
Power of music(音楽の力) 第19回
吹奏楽部は熱い!
『努力すれば夢は叶う』
上松 明代
私がフルートと出逢ったのは、中学時代に所属した吹奏楽部で、管楽器奏者の大半がこのパターンではないだろうか。文化部とは名だけで、実際は運動部と肩を並べる程、キツイ部活である。朝練、土・日曜の練習は当たり前。毎日何時間も楽器と向き合う。では何故、文化部に属する吹奏楽部が、運動部並みの練習量を求められるのかと言うと、ちょうどこの時期に(7月下旬から)、「全日本吹奏楽コンクール」が開催されるからである。これは地区予選から始まり、県大会、支部大会、そして全国大会へと勝ち進んでいく。熱い戦いが繰り広げられるのだ!それぞれの大会で「金賞」「銀賞」(私たちの時代は「銅賞」もあった)が受賞されるが、たとえ金賞でも、受賞した全ての学校が上位大会に出場できるわけではない。全国大会までの道は非常に険しい。
そもそも「吹奏楽」と「オーケストラ」の違いは何かというと、弦楽器を含むか含まないかの違いだけ。吹奏楽は管打楽器で編成されている。
現在、日本の音楽業界の半分が、吹奏楽ビジネスで成り立っていると言っても過言ではないくらい、昨今の盛り上がりは音楽家として嬉しい限りだ。将来、私のように中学の吹奏楽部から、音楽を生業とする人がどの程度出るか分からないが、プロにならなくても楽器は一生続けて欲しいと願う。
音楽は、聴くだけでも充分に生活を、そして人生をも豊かにしてくれる芸術だ。しかし楽器を演奏出来るとさらに素晴らしい経験が沢山待っている。たゆまぬ努力の末、他者との合奏で一体化した時のあの、体じゅうに電気が走るような高揚感と達成感。楽器練習は、単に技術向上だけではなく、責任感や協調性、さらに人生哲学など精神性をも育まれる。少なくとも私は吹奏楽部で、以上のことを学んだ。そして一番貴重な、そしてその後の人生に希望を与えてくれた経験は、『努力すれば夢は叶う』ということ。
これだけのことを中学生で学べる吹奏楽部って、そして音楽って・・・深い。
上松明代(フルート奏者・作曲家)
武蔵野音楽大学卒業。演奏活動と同時にバイタリティー溢れる作曲やショートムービー制作も展開。六甲在住。趣味は読書と銭湯と現代アート享受。YouTubeにてオリジナル曲公開中。音楽に対する想いは烈火の如く!オフィス Tempo.F 代表。
オフィシャルサイト http://akiyouematsu.com