12月号
SDGsを楽しく美味しく学ぶ|神戸魅力再発見ツアー
神戸独自のサステナブルを体験する、旨し&楽しツアー
神戸の観光コンテンツ案として「SDGs」ツアーを企画。今回、本誌も企画運営に参加している。従来は業界関係者の見学に集中していたため、一般人にも楽しく、通常体験することができない内容を盛り込んだモニターツアーを実施し、反応を見て実用化を検討する。
当日は神戸ほか大阪や和歌山などから参加。循環型経営を行う『弓削牧場』を見学し、自家製チーズや搾りたて牛乳の豪華ランチを堪能。昼から『STUDIO Kiichi』による神戸牛の原皮を活かした「神戸レザー」の加工体験後、元町にある同店へ移動。神戸レザーについて学び、最後は『西神飯店』で神戸牛の希少部位や廃棄部位まで余すことなく用いた特別コースを味わって終了。
盛り沢山な内容に参加者は「弓削牧場の経営姿勢に感銘した」「昼も夜も豪華な食事で大満足。畑仕事や皿洗いなど参加者が労働でお返しできれば、さらにエネルギー循環が高まる(笑)」と、各々のサステナブルに気づきを得た様子。神戸のSDGsから観光価値創造が始まりそうな予感!
弓削牧場(ゆげぼくじょう)
牛・野菜・人・環境にグッドな循環が真の豊かさを生む
約50頭の牛がのびのびと暮らす『弓削牧場』では牛の糞尿を発酵させてバイオガスを生成、エネルギー源として活用している。さらにガス生産副産物の消化液も自家菜園の野菜やハーブの液肥に。ツアーでは牧場の沿革について伺った後、レストラン「チーズハウス ヤルゴイ」でスペシャルランチを堪能。冷奴風チーズやホエイ(乳清)のシチューなど、芳醇な料理を楽しみ、午後からは牛を主役としながら、搾乳ロボットなど最新設備も併用したスマートな牛舎を見学。農薬や化学肥料不使用で育ったハーブを摘み、その力強い香りや姿から液肥の効果を実感した。
牛から絞った生乳は牛乳やチーズなどの乳製品、ホエイは料理ほか石鹸や化粧品に変身。糞尿はエネルギー(ガス)や液肥、堆肥となり、その循環が牛にも農作物にも人にも嬉しい環境を創りだしている。
STUDIO Kiichi(スタジオキイチ)
食べたら、使うがコンセプト神戸牛の皮革で小物作り
次は牧場内のテラス席でレザークラフト体験。「メイドイン神戸」をコンセプトとしたレザーブランド『STUDIO Kiichi』オーナーの片山喜市郎氏を講師に迎え、「神戸レザー」のカードケースづくりに挑戦、ハンドメイドの楽しさを満喫した。その後、元町にある店舗へ移動し「神戸レザー」について学習。「神戸牛(神戸ビーフ)」の肉は世界的なブランド高級肉として絶賛されるが、その皮は他の和牛の原皮に紛れて廃棄されている。そこで“希少性の高い神戸牛の皮”として有効活用し、価値を見出そうと誕生したのが皮革「神戸レザー」だ。牛の育成からレザー製造まで兵庫県内で完結し、全てにトレーサビリティが確保。「神戸牛は知っていたが神戸レザーは知らなかった。食べること以外にも活用されていたなんて」と参加者は感心しきりな様子だった。
西神飯店(せいしんはんてん)
神戸牛を1頭で買付け余すところなく頂きます!
最後は「最高級の神戸牛(神戸ビーフ)を一頭買いし、手頃な価格で提供する店」として有名な焼肉店『西神飯店』へ。社長の松田芳明氏が「神戸牛」という品種の牛は存在せず、「但馬牛」というブランド牛の中から厳格な審査で最高品質に格付けされた肉だけが「神戸牛」と呼ばれると説明。年間約六千頭しか流通しない希少価値の高い神戸ビーフへの期待が高まったところで、お待ちかねの夕食がスタート。通常ならば廃棄される部位なども活用した特別メニューが登場。食品ロスを抑えるため、高度な技術で様々な美味に変身させた逸品に舌鼓を打ち、美味しくSDGs体験。アキレスなどの突き出しからユッケや寿司、焼きしゃぶに加え、ササバラやイチボなど希少部位を含む焼肉、神戸牛たたきのひつまぶしまで、神戸牛をとことん味わい尽くす豪華な夕食でツアーを締めくくった。