11月号
草葉達也の神戸物語
ゲスト: 松原 裕さん
(COMIN’KOBE実行委員会 理事長)
被災地からの恩返しをと2005年から始められた、約四万人を集める無料音楽イベント「COMIN’KOBE」。代表を務める松原裕さんにお話を聞いてきました。
草葉 松原さんと音楽との出会いは?
松原 中学三年生ぐらいからですね。楽器やりだしたのは高一です。
草葉 ジャンル的には?
松原 J-POPからですが、高校入るとどんどん洋楽にはまっていきましたね。
草葉 私の年代もやはり同じなパターンの友達が多かったですね。高架下に洋盤買いに行ったり。
松原 そうですね(笑)
草葉 バンド活動は?
松原 高校からスタジオ借りてリハーサルして、ライブやってCD出して全国回ってという感じを二十三歳までやっていました。
草葉 早く結婚されたそうなので、そのあたりがバンドを辞める原因ですか?(笑)
松原 (笑) まぁーそれも多少はありましたが、生活というよりも自分の才能を見限りました(笑)
草葉 そこからも、やはり音楽関係のことを仕事にされたのですよね。
松原 そうですね。ライブハウスで働いたり、自分で立ち上げたり。
草葉 松原さんというと、カミング神戸という大きな無料音楽イベントを毎年続けられていますが、これはどういう経緯で?
松原 震災当時は北区にいまして、まだ中学三年生でした。自分も何かしなければというような気持ちは全くなかったのですが、バンド活動をやりだして初めて行ったのが横浜のライブハウスで、そこで「神戸から来ました」というようなMCをやったのですが、ライブ終了後に、お客さんから頑張ってください!と励まされたり、あるライブハウスの店長さんが、震災の時に何もできなかったからって料理を御馳走してくれたり、家に泊めていただいたり、神戸から来たというだけで本当に良くしてもらいました。
草葉 近代の日本では最初の大都市災害ですから、日本中がそんな感じで励ましてくれましたよね。
松原 震災の中にいましたし大変なことはわかっていましたが、ツアーで日本中が心配してくれていることをわかって、あれ?って思い、それが罪悪感に変わり、これは何かしないといけないという気持ちに変わってたちあげたのが2005年ですね。
草葉 あれだけ大きなイベントをするとなると大変でしょ?
松原 初年度は大変でしたねー。前例というか実績がないわけですから、賛同してくださる人もたくさんいましたが、そんなに人が集まるのかと心配されました。ずっと付きまとうのはやはり予算です。行政の補助金を出してもらうために、いろいろ勉強しました。パワーポイントというのも知らなかったですからねー(笑)
草葉 もちろん来年も。
松原 はい、スポンサーよろしくお願いします!
草葉 (笑) 神戸はどんなとこが好きですか?
松原 まぁベタですが場所はハーバーランドの夜景とか…。
草葉 よく行く店とかはありますか?
松原 店はねー、新開地ですね。
草葉 新開地!私のホームじゃないですか(笑)
松原 そうですか? よく行くのは焼き鳥の『八栄亭 上店』とか。
草葉 私は『ひょうご老舗会』という神戸の老舗を守る会の実行委員長をしていて、『八栄亭 上店』は会員でイベントをしましたよ。
松原 そうなんですか!
草葉 じゃまた新開地会をやりましょうー。
松原 ぜひ!(笑)
神戸を愛し、音楽を愛する松原さん。人を引き付ける魅力もあり、神戸のニューリーダーだと私は思いました。
まつばらゆたか
1979年神戸生まれ。神戸の音楽シーンの中心的な人物。ライブハウスの運営からイベントのプロデュースなど多方面で活躍中。株式会社パインフィールズ代表取締役、KissFM KOBE番組審議委員、流通科学大学 特別講師、平成25年度神戸市文化奨励賞受賞。
くさば たつや
神戸生まれ。作家、エッセイスト。
日本ペンクラブ会員、日本演劇学会会員
神戸芸術文化会議会員、大阪大学文学部研究科
阪南大学国際コミュニケーション学部非常勤講師
ひょうご老舗会実行委員長