2015年
11月号
昭和8年(1933)の完成に設けて工事が進む山口吉郎兵衛の邸宅

安井武雄の建築思想が息づく私邸跡 公益財団法人山口文化会館 滴翠美術館

カテゴリ:文化・芸術・音楽

 六甲山の美しい翠巒(すいらん)を背にした閑静な住宅街の一角に佇む私設美術館。山口銀行を設立するなど関西財界で活躍した、山口財閥の四代目山口吉郎兵衛の私邸の一部を美術館として公開している。
 この邸宅を設計した安井武雄は、モダニズム建築を代表する建築として名高い大阪ガスビルディングなどを設計したことで知られている。数多くの商業ビルを手がけてきた安井による私邸の設計は極めて珍しく、鉄筋コンクリート造りの支柱や階段、面格子など、安井建築の建築思想を細部にわたり窺い知ることができる。
 山口が財界を離れてから他界するまでの間、山口は京焼や紀州焼などの陶器や人形、かるた、羽子板などを熱心に研究し、収集。それら古美術品コレクションは2500点にも及び、今日も識者の間で高く評価されている。山口は生前からコレクションの一般公開を望んでおり、遺志を継いだ夫人が住宅を改装し、氏の雅号であった「滴翠」を冠して昭和43年(1968)、美術館を開館したのである。
 敷地内には、一般向けに陶芸教室「滴翠窯」も併設。充実した設備が整い、ゆったりとした自然環境に囲まれながら、気軽に陶芸を楽しめることもあり、連日、作陶を楽しむ人で賑わう。

昭和8年(1933)の完成に設けて工事が進む山口吉郎兵衛の邸宅


多くの客人をもてなした茶室は、ひときわ目をひく


子供部屋が改装され、第一展示室となっている


両替商の象徴、分銅を模した床の間


山口が大阪の住まいから使用していた欄間



焼き物を包む布、仕覆を縫う


作陶を楽しむ姿が見られる


生徒さんたちの作品


滴翠美術館

芦屋市山芦屋町13-3
TEL.0797-22-2228
■開館 10:00〜16:00(入館は15:30まで)
■休館 月曜日、夏季・冬季は休館
■料金 一般620円 高大生410円
    中学生以下無料
    ※団体15名様以上2割引

〈2015年11月号〉
神戸の粋な店 伊藤グリル
ALL NEW JAGUAR XF
特集 ー扉 阪神間モダニズムと住まい
日本の生活を大きく変えたマイルストーン
阪神間モダニズムを育んだ3つの川 夙川、芦屋川、住吉川
茅渟の海を望む地 山芦屋の歴史と価値
山芦屋は「建築博物館」
山芦屋に佇む、村野藤吾の名建築 中山悦治邸
緑あふれる住宅地 夙川の起点となった香櫨園
ネオ・ゴシック様式の聖堂 カトリック夙川教会
随所に施された何気ない「上質」 旧山本家住宅
生活をアートに変えるエスプリ 浦太郎邸
「日本一の長者村」 財界人たちが邸宅を構えた住吉村
阪神間モダニズム邸宅の傑作 旧乾邸
阪神間モダニズムの一角を 形成した〝住吉〟
日本経済を動かした、地域コミュニティ「観音林倶楽部」
日本の発展に尽くした実業家 平生釟三郎
「阪神間モダニズム」ゆかりの美術館をめぐる ―扉―
大谷竹次郎の邸宅庭園と美術コレクションを公開 西宮市大谷記念美術館
文豪の世界と地域文化を継承する 芦屋市谷崎潤一郎記念館
安井武雄の建築思想が息づく私邸跡 公益財団法人山口文化会館 滴翠美術館
俳人・高浜虚子の作品と出会う 虚子記念文学館
国宝・重要文化財を含む貴重なコレクション 白鶴美術館
村山龍平が後世に遺そうとした古美術 香雪美術館
女流画家の夢がつまった小さな美術館 世良美術館
秋の神戸観光 半日で行って帰れる 紅葉スポット!「神戸市立須磨離宮公園」
秋の神戸観光 世界の森の紅葉を楽しもう 「神戸市立森林植物園」
秋の神戸観光 高山ならではの紅葉の美しさ 六甲高山植物園 他
街全体が歴史によって刻まれた 建築・住居学の実物大教科書
国際都市神戸にふさわしい環境
地域の人たちの温かさと 豊かな自然に囲まれて
国際ロータリー第2680地区 神戸西ロータリークラブ 心の「四季節」便り
連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.9
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第五十五回
神戸のカクシボタン 第二十三回
草葉達也の神戸物語
神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん) 第71回
第二十一回 兵庫ゆかりの伝説浮世絵
触媒のうた 57
有馬歳時記 有馬 “ニューオープン” へてから 有馬温泉店