2015年
11月号

連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.9

カテゴリ:文化・芸術・音楽

文・写真/岡力<コラムニスト>
引退後にさまざまな世界で活躍している元プロ野球選手が経営する、阪神間の店舗・施設等をご紹介します。

Vol.9 熱血指導で多くの名選手を育成 水谷実雄さん

 「西宮七園」の一角を占める閑静な住宅街、阪急甲東園駅で下車。今日の取材はいつもにまして背筋が伸びる。駅からすぐの場所にある一軒の鶏料理専門店。風情ある店内には、野球関連の装飾が一切されておらず味で勝負する経営者のこだわりが感じられる。プロ野球選手、食通に評判の「鶏処 だれやみ」は、プレーヤー、コーチとして球史に歴史を刻んだ水谷実雄さんのお店である。
 宮崎県串間市出身。小学4年の時に出会った三角ベースがきっかけで野球の道に進む。中学時代の活躍が見込まれ全国の強豪が注目する中、地元の宮崎商業高校に進学。1年時からレギュラーとして甲子園の土を踏む。翌年には、エースで4番に起用され連続出場を果たした。
 1966年ドラフト4位で投手として広島カープに入団。その後、肩の故障により外野手に転向した。1975年には、念願だったチームの優勝に貢献。山本浩二、衣笠祥雄と共に赤ヘル黄金期を築き首位打者のタイトルも獲得した。その後、加藤英司との大型トレードにより阪急ブレーブスに入団。移籍後も4番打者として打点王に輝くなど常勝軍団を牽引した。
 引退後は、打撃コーチとして阪急、広島、近鉄、ダイエー、中日、阪神と渡り歩き多くの強打者を育成した。「かつての教え子には嫌われている。だが、嫌われるのもパワーがいります。チームの状態が悪いから呼ばれる。早急に空気を読みとり短期集中で改善を図らないと時間がないんですよ。できないことを怒ったことは一度もない。できることを怠ると・・・コラー!!!」とカウンターに腰掛け気さくに笑う水谷さん。これまでの実績に対し「選手がもともと凄かっただけ」と謙遜する姿勢に感銘を受ける。
 厨房では、娘婿であり店長の鍬田一郎さんが寡黙に調理を行う。聞くと水谷さんが現役時代からいきつける愛媛県松山市の専門店で修行の末、味を継承したと言う。野球のみならず料理に対しても細部に渡るこだわり。あたりまえの努力をきちんと積み重ねた先に神は宿る。

親子で仲むつまじく経営


淡路島産の地鶏を低温で揚げた絶品「若足」


鶏処 だれやみ

西宮市上大市1丁目11ー5
営業 17:00~23:00
定休 木曜

月刊 神戸っ子は当サイト内またはAmazonでお求めいただけます。

〈2015年11月号〉
神戸の粋な店 伊藤グリル
ALL NEW JAGUAR XF
特集 ー扉 阪神間モダニズムと住まい
日本の生活を大きく変えたマイルストーン
阪神間モダニズムを育んだ3つの川 夙川、芦屋川、住吉川
茅渟の海を望む地 山芦屋の歴史と価値
山芦屋は「建築博物館」
山芦屋に佇む、村野藤吾の名建築 中山悦治邸
緑あふれる住宅地 夙川の起点となった香櫨園
ネオ・ゴシック様式の聖堂 カトリック夙川教会
随所に施された何気ない「上質」 旧山本家住宅
生活をアートに変えるエスプリ 浦太郎邸
「日本一の長者村」 財界人たちが邸宅を構えた住吉村
阪神間モダニズム邸宅の傑作 旧乾邸
阪神間モダニズムの一角を 形成した〝住吉〟
日本経済を動かした、地域コミュニティ「観音林倶楽部」
日本の発展に尽くした実業家 平生釟三郎
「阪神間モダニズム」ゆかりの美術館をめぐる ―扉―
大谷竹次郎の邸宅庭園と美術コレクションを公開 西宮市大谷記念美術館
文豪の世界と地域文化を継承する 芦屋市谷崎潤一郎記念館
安井武雄の建築思想が息づく私邸跡 公益財団法人山口文化会館 滴翠美術館
俳人・高浜虚子の作品と出会う 虚子記念文学館
国宝・重要文化財を含む貴重なコレクション 白鶴美術館
村山龍平が後世に遺そうとした古美術 香雪美術館
女流画家の夢がつまった小さな美術館 世良美術館
秋の神戸観光 半日で行って帰れる 紅葉スポット!「神戸市立須磨離宮公園」
秋の神戸観光 世界の森の紅葉を楽しもう 「神戸市立森林植物園」
秋の神戸観光 高山ならではの紅葉の美しさ 六甲高山植物園 他
街全体が歴史によって刻まれた 建築・住居学の実物大教科書
国際都市神戸にふさわしい環境
地域の人たちの温かさと 豊かな自然に囲まれて
国際ロータリー第2680地区 神戸西ロータリークラブ 心の「四季節」便り
連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.9
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第五十五回
神戸のカクシボタン 第二十三回
草葉達也の神戸物語
神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん) 第71回
第二十一回 兵庫ゆかりの伝説浮世絵
触媒のうた 57
有馬歳時記 有馬 “ニューオープン” へてから 有馬温泉店