2015年
11月号
ヨゼフ梅木省三氏によって設計され、昭和7年(1932)に完成した。 ネオ・ゴシック様式の壮麗な外観と美しいステンドグラスは、夙川のシンボル

ネオ・ゴシック様式の聖堂 カトリック夙川教会

カテゴリ:建築, 西宮

 キリスト教は江戸時代初期に禁教とされたが、幕末に来日した西洋人たちが教会を建てるようになると、禁教令以来200年もの間ひっそりと信仰を受け継いでいた隠れキリシタンたちの存在が、長崎で発覚した。彼らへの弾圧事件をきっかけに日本人は信教の自由を手に入れ、関西でも、宣教師たちが外国人居留地を中心に伝道活動を行うようになる。明治末から郊外住宅地がつくられるようになると、宣教師たちはここに新しい教会を建てようと考えた。
 大正10年(1921)、フランス生まれのS・ブスケ神父が、札場筋と旧国道との交差点の借家に「聖なるロザリオの教会」を設立。やがて神父は夙川に土地を購入して本格的な聖堂の建設計画に取り組み、昭和7年(1932)に夙川教会が落成した。ネオ・ゴシック様式の大聖堂は、ブスケ神父が敬愛した聖女テレジアにちなみ、「幼きイエズスの聖テレジア教会」や「小さき花の聖テレジア教会」とも呼ばれる。
 戦災や大震災を耐え抜いたこの教会は、今も壮麗な外観や美しいステンドグラスを保ち、鐘の音が祈りと安らぎをもたらしてくれる。祭壇奥の十字架像を中央に、右に聖テレジア、左にロザリオの聖母のステンドグラスを配し、正面入口の左側には聖テレジアの像が置かれる。
 夙川ゆかりの作家、遠藤周作はこの教会を、少年時代に母に連れられて洗礼を受けた場所としてしばしば作品に描いており、キリスト教に根ざした遠藤文学の原点といわれている。

ヨゼフ梅木省三氏によって設計され、昭和7年(1932)に完成した。 ネオ・ゴシック様式の壮麗な外観と美しいステンドグラスは、夙川のシンボル

ヨゼフ梅木省三氏によって設計され、昭和7年(1932)に完成した。 ネオ・ゴシック様式の壮麗な外観と美しいステンドグラスは、夙川のシンボル


阪神間の郊外住宅地で行われた伝道活動の際に建てられた

阪神間の郊外住宅地で行われた伝道活動の際に建てられた


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教会内には、ファサードの薔薇窓を通して鮮やかな光がふりそそぐ

教会内には、ファサードの薔薇窓を通して鮮やかな光がふりそそぐ


文学作品にもしばしば登場。遠藤周作文学の原点ともなった

文学作品にもしばしば登場。遠藤周作文学の原点ともなった


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カトリック夙川教会

西宮市霞町5-40
TEL.0798-22-1649

〈2015年11月号〉
神戸の粋な店 伊藤グリル
ALL NEW JAGUAR XF
特集 ー扉 阪神間モダニズムと住まい
日本の生活を大きく変えたマイルストーン
阪神間モダニズムを育んだ3つの川 夙川、芦屋川、住吉川
茅渟の海を望む地 山芦屋の歴史と価値
山芦屋は「建築博物館」
山芦屋に佇む、村野藤吾の名建築 中山悦治邸
緑あふれる住宅地 夙川の起点となった香櫨園
ネオ・ゴシック様式の聖堂 カトリック夙川教会
随所に施された何気ない「上質」 旧山本家住宅
生活をアートに変えるエスプリ 浦太郎邸
「日本一の長者村」 財界人たちが邸宅を構えた住吉村
阪神間モダニズム邸宅の傑作 旧乾邸
阪神間モダニズムの一角を 形成した〝住吉〟
日本経済を動かした、地域コミュニティ「観音林倶楽部」
日本の発展に尽くした実業家 平生釟三郎
「阪神間モダニズム」ゆかりの美術館をめぐる ―扉―
大谷竹次郎の邸宅庭園と美術コレクションを公開 西宮市大谷記念美術館
文豪の世界と地域文化を継承する 芦屋市谷崎潤一郎記念館
安井武雄の建築思想が息づく私邸跡 公益財団法人山口文化会館 滴翠美術館
俳人・高浜虚子の作品と出会う 虚子記念文学館
国宝・重要文化財を含む貴重なコレクション 白鶴美術館
村山龍平が後世に遺そうとした古美術 香雪美術館
女流画家の夢がつまった小さな美術館 世良美術館
秋の神戸観光 半日で行って帰れる 紅葉スポット!「神戸市立須磨離宮公園」
秋の神戸観光 世界の森の紅葉を楽しもう 「神戸市立森林植物園」
秋の神戸観光 高山ならではの紅葉の美しさ 六甲高山植物園 他
街全体が歴史によって刻まれた 建築・住居学の実物大教科書
国際都市神戸にふさわしい環境
地域の人たちの温かさと 豊かな自然に囲まれて
国際ロータリー第2680地区 神戸西ロータリークラブ 心の「四季節」便り
連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.9
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第五十五回
神戸のカクシボタン 第二十三回
草葉達也の神戸物語
神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん) 第71回
第二十一回 兵庫ゆかりの伝説浮世絵
触媒のうた 57
有馬歳時記 有馬 “ニューオープン” へてから 有馬温泉店