6月号

西区の麦畑からできるパン|神戸の“美味しい”くらし
パン屋 小麦生活
「家庭の食卓の上では、今やご飯食とパン食は同等の割合になっている。でもお米づくりに関しては学校で勉強しますが、パンの主原料である小麦のことは、教えられることが少ないのではないでしょうか」と加古隆一さん。実家が米作りの農家だった加古さんは、自身で試行錯誤を繰り返しながら小麦を栽培、そこで収穫された小麦粉を使ったパン作りを10年前からスタートした。
西区神出町の麦畑で、11月に種をまき、冬を越した小麦は6月に刈り取られる。周辺の土壌は粘土質が多く、乾いた土壌で育つ小麦にとっては排水対策が非常に重要なため、試行錯誤の繰り返しの10年だったという。収穫された小麦は小麦本来の風味が味わえる全粒粉となり、シンプルな材料と製パン方法で作られる。「香りが良い」「噛めば噛むほど味が出る」と、消費者にも好評だ。
西区では、人口も農業に携わる農家も減少傾向にある(神戸市調べ)。自身の事業によって小麦の栽培技術を上げ、西区で栽培された小麦を使ったパンを作ることにより、小麦粉の需要も増えるため、他にも麦を栽培する農家が増えてほしいというのも加古さんの願い。そして「神戸で作られた小麦でできたパン」というストーリーが、パンをよりおいしくする。「うちの実家でできたお米で炊いたご飯は、この世で一番おいしい。パンにもそれが言えるんじゃないですか」と、加古さん。

加古さんが小麦栽培とパン作りを始めて10年になる

米とは違い、パンの主原料である小麦について知る機会は少ない

乾燥した土壌で育つ小麦を、神戸の粘土質の土壌で栽培できるよう、試行錯誤を繰り返した

収穫した小麦を、小麦本来の風味が存分に味わえる全粒粉に挽く

「神戸で作られた小麦」という背景が、パンをよりおいしくする

シンプルな材料と製造工程によって、香りが良く、噛めば噛むほど味わい深いパンが生まれる

小麦栽培の技術を上げ、他にも麦を作る農家が増えてほしいと願う加古さん

合同会社小麦生活 代表社員
加古 隆一(かこ りゅういち) さん
パン屋 小麦生活
神戸市西区神出町小束野30-17
兵庫楽農生活センター加工施設棟
営業10:00~14:00 火曜日定休
090-5060-5840
・Cal-farm KOBE(キャルファーム神戸)
・個人農園 森本 聖子さん
・パン屋 小麦生活
・弓削牧場
・神戸牛牧場
・すまうら水産
・養蜂インストラクター 春井 勝さん