2017年
6月号
共同で海苔を生産するため、2014年に設立されたすまうら水産。毎年12月から4月末にかけて養殖が行われる

一番摘み海苔(のり)の香り「須磨海苔」|神戸の“美味しい”くらし

カテゴリ:グルメ, 神戸

すまうら水産

 神戸市漁協によって地域ブランドとして登録された「須磨海苔」。須磨浦でとれる海苔は、大阪湾の豊富な栄養と、明石海峡の強い潮の流れの中で育つため、肉厚ながらやわらかく、色も黒く、焼けばパリッとした歯切れの良さが味わえて、タンパク質やアミノ酸などの栄養素も豊富。通常は一枚の海苔網から数回摘みとられるが、すまうら水産では一回目に摘みとる「一番摘み」海苔のみを使用。香りが高く、いわば最高級であり、関東圏に出荷された際には寿司店や百貨店の贈答品に使われることが多いという。
 9月に種付けが行われ、手作業でていねいに育てられた海苔は12月初旬から刈り取られる。目の前にある工場に運ばれた後、洗浄・裁断され、四角い海苔の形に生成。約2時間半乾燥させた後、焼き海苔や味付け海苔として加工するため納品される。
 設備投資に多額の費用がかかる海苔の製造を共同で行うため、2014年に設立されたすまうら水産は、漁師歴数十年のベテランから若手漁師までが集う。「街に近く、漁場も広い須磨浦は本当に恵まれた環境。これを有効活用するには、漁業にたずさわる若手を街ぐるみで育成するために、地域とも連携していきたい」と、若林良さん。山から湧き出る水が川となって海に流れ込み、海の栄養となるため、山や川の環境が海苔の生育や色合いに大きな影響を及ぼす。すぐ背後に街と山がひかえる須磨浦に立つと、余計にそのことが深く感じられた。

一番摘みの海苔だけを使用し、2007年に地域ブランドとして商標登録された「須磨海苔」。
左から「味海苔」、「焼海苔」、「塩海苔」


共同で海苔を生産するため、2014年に設立されたすまうら水産。毎年12月から4月末にかけて養殖が行われる


須磨の海苔は、大阪湾の豊富な養分と明石海峡の強い潮流の中で育つ


海苔工場に運ばれ、洗浄や断裁の後、乾燥・加工を経て納品される


洗浄の工程で、混じった異物や汚れを取り除く


海苔工場のできたての海苔。一番摘みの海苔は特に香りが良い


山水が川となって流れ込み、海の栄養となる。須磨の山と海からの恩恵は大きい


須磨浦を今後も有効活用し、若手の育成のため地域とも連携していく


すまうら水産有限責任事業組合 営業部長 若林 良(わかばやし りょう) さん



すまうら水産有限責任事業組合

神戸市須磨区須磨浦通6-61
078-735-4200

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