2016年
1月号
東遊園地は賑わいの場として期待が寄せられている

ポートランドから学ぶ、街の将来ビジョン

カテゴリ:神戸

株式会社村上工務店 代表取締役社長 村上 豪英 さん

アメリカ、オレゴン州ポートランドは暮らしすい都市として、全米第1位の評価を受ける。
神戸が目指すモデル都市として参考になると村上豪英さんは話す。

 街のビジョンを思い描くヒントをもらったのが偶然見つけた「GREEN Neighborhood」という本で紹介されているポートランドの街です。「こんなステキな街が実在するんだ!」と思いました。元々、カリフォルニアの喧騒を逃れて来た人たちが集まっている街ですから自然を好み、車を乗り回すのがクールじゃないと考え、消費をするよりも自分でつくる「クリエイティブ」であることを尊ぶ文化、気風があります。ステキな街の条件は、都心で住んで働き、学んで、食べて、買い物をすることができる、いわば用途が混在していること。ポートランドはその条件を満たしていると思いますね。しかも車社会のアメリカにありながら、公共交通機関、自転車、徒歩圏内でほぼ全てを満たすことができる街なのです。
 海に面して川沿いにある港町です。山も近くて、いくつかのアウトドアブランドもここから生まれています。神戸と人口や街全体の規模、ダウンタウンの規模も中央区三宮辺りと同じくらい。買い物するなら大型スーパーより個人商店を、食事をするなら大手の外食チェーンよりオーナーシェフが一生懸命やっている店を選びます。神戸の人も同じように考えているのではないでしょうか。
 地元の野菜を食べようという意識が高くて、ポートランドのファーマーズマーケットはイベントではなく、ちゃんとした商売として成り立っています。地元有機野菜スーパーも、損得抜きで応援しているんですよ!商売敵なのに…。食の世界でこれから頑張ろうという人たちのスタート地点にもなっています。
 今、時代の先端をいくのはフリーランスな働き方ですから、住む場所をオフィスに通うために選ぶ必要はありません。住みやすい場所に住めばいいんです。その街に同じような考え方で暮らしている人がいれば、つながりが生まれ、新たなビジネスが始まるかもしれません。神戸も住みやすい街としてのポテンシャルが十分にあります。どんどんアピールしていけばいいと思いますね。

地元の消費者が地元の生産者を支えるというシステムが確立している


自動車を使わず公共交通機関を利用する。写真はLRT(路面電車)


ポートランドのファーマーズマーケットはビジネスとして成り立っている


「First Thursday」というアートフェスティバルも定着している


昨年開催された「アーバンピクニック」では多くの人出で賑わった。


東遊園地は賑わいの場として期待が寄せられている

村上 豪英(むらかみ たけひで)

1972年、神戸生まれ。京都大学大学院理学研究科修了。シンクタンクに勤務。現在は株式会社村上工務店の代表取締役社長。2012年、神戸青年会議所理事長。2011年より神戸モトマチ大学代表。趣味はフライフィッシングとサッカー、トレッキングなど

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〈2016年1月号〉
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