3月号
御影・住吉の暮らしを語る「人の心が通い合う街であり続けるために」
株式会社 テーラーキダ
代表取締役
喜田 充 (きだ みつる)さん
PTA会長や自治会長などを歴任し、大人にも子どもにも優しく、
時には厳しく声をかけ続けている喜田充さんは、御影の老舗洋服店の二代目でもある。
「人の心が通い合う街」への思いをお聞きした。
御影の地で創業以来55年
私の父は、神戸の生地問屋で営業をやっていたそうです。何かの理由で問屋が廃業することになり、父は55年前に自分で洋服屋を始めました。当時、洋服は高級品でしたからかなり繁盛し、最盛期には40人ぐらいの職人がいたようです。
震災で大きな被害を受ける
震災までは主に外売り、百貨店でいえば外商という形態で販売していました。御影の店舗は倉庫のような使い方をしていたのですが、震災で大きな被害を受けて建て替えるにあたっては、ここへお客様に来ていただけるようにしようと考えました。現在は多数のお客様に足を運んでいただけるようになりました。
お喋りを楽しみながら… そんな洋服屋があってもいい
マシンメイドのオーダーに特化しています。国内の縫製工場に依頼しテーラーキダ独自のラインにのせて、対応し切れない部分には自前の職人が手仕事を加えています。洋服は少なくとも1年に2度、夏冬に新調していただけるものですから、安定した商売を続けさせていただいています。
ニューヨークに駐在する方が半年に1回、日本に帰ってくる度に洋服を新調しに来られるなどという例もあるほどです。私はお喋りですから(笑)、いろいろお話ししながら要望をお聞きしたり、採寸したりしています。今どき、そんな洋服屋があってもいいんじゃないかなと思っています。もちろん、「そういうのは苦手や」というお客様に対しては、口にチャックして黙っていますよ(笑)。
地域密着は実際に行動すること
私は子どもが好きで、地域のお世話をすることも好きです。趣味のサッカーのトレーニングを兼ねて毎朝走っていたのですが、16年前から、登校する子どもたちの様子を見て声をかけているうちに「おもしろいなあ」と思うようになり、春夏冬の休み期間以外はずっとパトロールに立つようになりました。当時は「変わった人やなあ」と言われましたが(笑)。「地域密着」と口で言うのは簡単ですが、実際に行動することが大切。御影界隈には積極的に行動している人が何人もおられます。これもこのエリアの特徴だと思いますね。
いい方向に変化してきた御影界隈
御影は現在の旨水館辺りで良質の水が湧き、澤之井の水で帝がお姿を写したという逸話があります。そこで「御」「影」という地名が付いたと言われています。元々は静かな田園地帯だったようですが、時代の流れに沿ってどんどんと便利になり、教育熱心な土地柄と言われるようになったようです。憧れがあるエリアなのでしょうか、新しく移り住んで来られる人も多いですね。
人の心を大切にする街づくりに協力してほしい
御影は高級感がありながら、それほどの派手さはない街です。とてもいい方向へと変化してきて、住民が増えて活気が出てきたことはとても嬉しいことです。そんな中で、人の心を大切にすることは忘れずにいたいと私は思っています。
新たに御影エリアにお住まいになられる方には、隣近所の住人たちと少なくとも「おはよう」「こんにちは」などと挨拶できる関係を築いていただきたいと希望しています。
私自身は地域の子どもたちにとって、いつも声をかけてくれる優しいおじさん、悪いことをしたら怒られる怖いおじさん、そんな存在でありたいと思います。人の心が通い合う街づくりにこれからも協力していきたいですね。
テーラーキダ
神戸市東灘区御影郡家1-29-31
TEL.078-841-1086