2012年
12月号

独自サイト「ハートフルなお店特集」公開![アサヒビール㈱]

カテゴリ:グルメ,

〝うまい!〟をみんなで、たっぷり味わおう

アンケートや多方面への取材を重ね、じっくり10カ月かけて制作されたサイト「ハートフルなお店特集」が10月15日から公開された。積極的にバリアフリーに取り組むお店を紹介し、美味しいお料理とコミュニケーションを、多くの方にストレスフリーで楽しんでもらおうというもの。どんな内容? きっかけや経緯は? 制作を担当したアサヒビール㈱の木谷さんにお話しいただいた。

写真付きで詳しく紹介するページ

「ハートフルなお店特集」トップページは、賛同いただいた6店舗の情報が一目で分かります。続いて各店のページを開いていただくと…、お店入口の間口、通路幅、テーブルやカウンターのサイズ・形状、トイレがバリアフリーにどの程度対応しているかなどを写真付きで詳細に掲載しています。なぜここまでする必要があったのか? それは、旅行雑誌等のグルメ情報サイトを見て、「バリアフリー」と表記があるので実際行ってみると対応していなかったり、電話で予約を入れる時点で「車いすは無理です」と断られたというケースがかなりあることが分かったからです。そこで、単に車いすマークを入れたり、「バリアフリー対応」と記載するのではなく、より詳しい情報を分かりやすく掲載することにしました。
また、対応できていない部分についても、その旨をきちんと記載することを徹底しています。例えば、店内のトイレはバリアフリーではない。けれど、車いすで入るには十分な間口があるので「スタッフがお手伝いします」と記載したり、また、すぐ近所にあるバリアフリートイレを案内するケースもあります。

それは、社内での何気ない会話から始まった

昨年12月、社内で「車いすで行ける飲食店さんって、意外と少ないよね」という話題が出ました。誰でも皆で「うまい!」を共有できるようになるといいね…、「そのためにはどうしたらいいのかな?」というところからスタートしました。
ホームページ制作に力を入れておられ、私自身も色々とアドバイスいただいていたご縁があり、神戸市西区の「とり梅」さんを訪ねました。とり梅さんは、店主がお世話になった焼き鳥の師匠が突然車いす生活を余儀なくされたことをきっかけに、店内を全面的にバリアフリーに改装しています。「今までと変わらずお店に来て欲しい」という思いだったそうです。改装の際に色々とアドバイスをもらったという、兵庫県立総合リハビリテーションセンターを紹介いただき、先生に相談させていただきました。さらに先生から、車いすバスケットチームや兵庫頚髄損傷者連絡会の会長を紹介いただき、どんどん輪が広がり、障害者の自立に取り組むNPO法人「メインストリーム協会」と出会いました。皆さんには色々と協力をいただきました。

車いす利用者へのアンケート実施 
感動とストレスが浮き彫りに

サイト開設にあたり、車いすを使う140人の皆さんに、外食に関するアンケートを実施しました。その結果、車いすを使う方のほとんどが、「外食によく行く」ということが分かりました。お店のソフト面での配慮、いわゆる「心のバリアフリー」で可能になっているケースも多いようでした。必ずしもハード面でバリアフリーになっていなくても、ちょっとした配慮でバリアが低くなるんだということに気づきました。
一方、曖昧な情報をもとに出かけたものの、辛い経験をしたというケースも多くあるようでした。そこでやはり、情報をより詳しく公表する必要があると痛感しました。

様々な視点でのお話を参考に、10カ月かけてサイト公開

このサイトには、中途半端な情報を掲載するのではなく、きちんとした情報を掲載したいという思いがありましたので、兵庫県立福祉のまちづくり研究所にもアドバイスをいただき、また、兵庫県の「福祉のまちづくり条例」における具体的な数値基準などを参考にしました。施設のバリアフリー化に取り組んでおられるお医者さんにも色々なご意見をいただきました。メインストリーム協会メンバーの皆さんには、実際にお店を利用していただき、改善点などを指摘いただいたりもしました。
また、バリアフリーの範囲をどこまでにするのかという大きな問題もありました。現段階では、「車いすをご利用になっている方、聴覚や視覚などに障がいをお持ちの方に対応できる」という範囲からスタートしています。検索は〝ハートフルなお店〟で!

基準はハードだけじゃない
気遣いというソフトもある

障がいを持つ方のバリアは多種多様です。兵庫県の条例における基準はありますが、決してその条例の基準をすべてクリアできなくても、ソフト面でのちょっとした気づかいでカバーすることは、十分に可能なのです。当サイトでは、「当店の通路は段差20mm程度の高さで石畳があります」や「店内はバリアフリートイレではないですが~」といったマイナス情報をきちんと掲載します。障がいを持つ方がこのサイトを見て、「車いすのままで、行けるお店かな?」といった判断をしていただけるものしたいと思っています。今のところは6店舗掲載ですが、今後も店舗数を増やすことに終始することなく、慎重に検討し〝重みのあるページ〟で、なお且つ〝楽しいページ〟づくりを目指していきます。
高齢化社会も進んでいます。車いすを使うおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に家族みんな、誰もみんなで、〝うまい!〟をたっぷり味わいましょう!



みんなで楽しく、美味しいビールとコミュニケーション!


カウンター席に座りやすくするための特製テーブルを設置できるお店


聴覚障がいの方向けオーダー用紙


いつでもスタッフが呼べる「呼び出しベル」も重要


十分な幅、段差無し、自動ドアなど車いすの方でも入りやすい玄関


バリアフリートイレかどうかなどのトイレ情報も細かく



兵庫・神戸のグルメ情報
「ハートフルなお店特集」
http://www.asahibeer.co.jp/area/07/28/heartful/
検索は「アサヒビール 兵庫」で。
「兵庫県エリアサイト」から「ハートフルなお店特集」へジャンプ!

木谷 亮太さん

アサヒビール株式会社 
神戸統括支社 業務部

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