2012年
12月号
大手前大学 学長 柏木 隆雄さん

文化香る 西宮・夙川で学ぶ

カテゴリ:スイーツ・パン, 教育・スポーツ

洋菓子の街・西宮で製菓を体系的に学ぶ

 大手前学園には、大阪に栄養学院と製菓学院の二つの専門学校があり、優秀な先生方の下、多くの学生さんが技術を中心に学んでいます。大学がある西宮は、全国有数のスイーツ、特に洋菓子の街です。この街の4年制大学で、技術をさらに科学的に学び、製菓をビジネスとして展開していくためのマネジメント知識やノウハウなどを学問として始めたいという理事長の考えがあり、総合文化学部に2010年「スイーツ学専攻」を開設しました。教授の松井博司先生は、大学では化学を専攻し、その後、洋菓子の道に進まれた先生ですので理論的、科学的に教えておられます。学内には製菓用のラボラトリーをつくりました。今年の秋には、西宮菓子工業組合さんと本学のスイーツ学スタッフ、学生でお酒をテーマにした洋菓子のコンテストを開催しました。夏には、希望する学生たちが松井先生と一緒にウィーンに研修に出かけました。今年4月からは、洋菓子界の重鎮・吉田菊次郎さんに客員教授を務めていただいています。また、2013年春には、グランフロント大阪のナレッジ・キャピタルに「スイーツ ラボラトリー」を開設する予定です。製菓技術の向上や今までにないスイーツを研究・開発・販売したり、セミナーや展示会などを実施するユニークな施設になると思います。
これから卒業生が社会に出ていきます。どんなふうに活躍してくれるのか楽しみにしています。

〝英語で英語を学ぶ〟から〝英語で一般科目を学ぶ〟へ

 グローバル化する世界の中で活躍できる人材育成のために、英語で英語を学ぶLEO(Language Education Oteme)を取り入れています。社会人と学生が一緒になってネイティブ講師に英語で英語を学ぶというシステムです。単位を取った学生の中の約40人はアメリカ留学を終え、9月からは英語で一般科目を学んでいます。現在のところプログラムとしては「グローバル日本学」のオムニバス授業と日米ビジネス論の2つですが、来年度からは本格的に科目を増やして、将来的にはメジャーの一つにしていく予定です。

パリ国立高等美術学校と交換留学開始

 「エコール・デ・ボザール・ド・パリ(パリ国立高等美術学校)」は、350年以上の歴史を持つ世界有数の美術高等教育機関で、ルーブル美術館にあるほとんどのフランスの画家が卒業したと言われています。日本からの交換留学生の受け入れは、東京藝術大学、京都市立芸術大学、武蔵野美術大学の3校だけです。「交換留学生を受け入れてもらえないか」とお願いしたところ「大学を見てから決めさせて欲しい」ということでした。今年2月、副学長が日本に来られた折、本学をご案内し、日本では4校目の交換留学開始が決定しました。毎年1人、留学生を交換します。世界有数の名門校で学べるということは本学の学生にとって素晴らしいことだと思っています。フランスからやってくる留学生には、東京や京都とはまた違う、神戸・阪神間の文化や景色を見てもらうことを楽しみにしています。

文化の香り高い 西宮・夙川周辺

 大手前大学周辺の環境を見ていると、住む人の生活意識の高さを感じますね。本学入口には谷崎潤一郎の言葉「我という人の心はただひとり、われより外に知る人はなし」を刻んだ石碑があります。例えば私が、谷崎行きつけの喫茶店に行って、谷崎のこの言葉を口にしたとしましょう。「私も大好きな言葉です!」という声がどこかから聞こえてきそうな街です。普通なら「なんや、キザなやつ」と思われるところでしょうがね(笑)。
阪神淡路大震災ではこの地域も被害を受けましたが、大手前大学と地域の皆さんが協力して復興してきました。その経験が生かされ、今でも大学と地域が密接な関係を保っています。大学が発展してくためには、地域の支えはとても大切だと思っています。
阪神間は南欧に例えられますが、太陽がしっとりと明るく、海があって、風がある。確かに似た雰囲気がありますね。

満足できる学生生活を送って社会へと巣立ってほしい

 大手前大学では4年間を通して就業力を育成するキャリアデザインを実施しています。就業力にはプレゼンテーション力が重要です。一つの共通課題についてグループで調べ、考え、討論し、最終的にプレゼンテーションする問題解決型学習を全科目に取り入れたり、インターンシップ終了後はその経験をテーマに発表の場を設けています。また、キャリアサポート室では就職活動を実践的にフォローしています。
世の中では、「何もしたくない、就職もしたくない」学生が増えているようです。ゼミの先生方には学生たちに対して就職の必要性を啓発して、更にキャリアサポート室まで連れて来てもらっています。教職員みんなの努力が成果を上げてきています。
私は学長に就任した当時から、学生も教職員も満足できる大学にしたいと思っています。これからも、大手前大学で学ぶことが、そして卒業したことを誇りにできる大学にしたいと考えています。

大手前大学 学長 柏木 隆雄さん


グランフロート大阪ナレッジ・キャピタルに出来る「スイーツ・ラボ&ギャラリー」


スイーツ学の授業風景


LEOの授業風景


エコール・デ・ボザールド・パリとの交換留学協定に調印


さくら夙川キャンパス

柏木 隆雄(かしわぎ たかお)

大手前大学学長・仏文学博士
1944年、三重県松阪生まれ。県立松阪工業高校工業化学科を卒業、住友金属工業に入社、中央研究所勤務の後、1965年大阪大学文学部入学、1969年同仏文学専攻卒業。1975年同大学院文学研究科博士課程修了。1991年、大阪大学文学部教授(仏文学講座)、2004年大阪大学大学院研究科長・文学部長、2008年4月大阪大学名誉教授。日本フランス語フランス文学会副会長。2011年大手前大学副学長、2012年4月より現職。