2024年
12月号
12月号
ビフテキのカワムラで〝本物〟の神戸ビーフを心ゆくまで
ビフテキのカワムラ 銀座店
世界のハイブランドや一流の名店が集結する銀座に進出して15年、カワムラは神戸ビーフの老舗レストランとしてこの街に彩りを添えている。GINZA SIXからみゆき通りを北西へぶらり3分ほど、ビルの最上階で落ち着いた雰囲気を醸す店内には、12席のカウンターのほか6名の個室が3室、10名の個室が1室。個室は仕切りを開放すれば16名まで対応可能だ。
「カワムラなら間違いない」というコンシェルジュたちからの信頼があるからか、都内の名門ホテルからの紹介も少なくない。昨今は海外からの来店がかなり多いが、「このタレが忘れられない」と神戸でカワムラの味に馴染んだ客も意外と多いとか。東京にも神戸ビーフを扱う店は数あれど、クオリティの高さでカワムラはひときわ輝いている。
神戸ビーフのプロフェッショナル カワムラがお届けする神戸ビーフ講座⑧
前田周助と周助蔓(1)
但馬牛(うし)は神戸ビーフの素牛ですが、江戸時代末期に但馬の各地でその優秀な血統の基礎となる蔓(つる)が育成されたことは前回ご紹介しました。
その中でもひときわレベルが高かったのが周助蔓です。これを育んだのは、小代(現在の香美町小代区)の猪の谷集落の前田周助(1797~1872)という人物。子どもの頃から牛が好きで、やがてすぐれた雌牛を集めて谷の斜面で飼いますが、牛の資質を見抜く眼力は近畿一円に知られるほどでした。
ところがあまりにも牛に熱心で、名牛を得るために多額の借金を抱えたので勘当を議論する親族会議が開かれたが、当の周助はこの様子を柿の木の上から眺めていた…そんな彼の豪傑ぶりを伝える逸話が残っています。