2024年
12月号
12月号
兵庫県立美術館に見る 安藤建築|けんびの『美』|Vol.1
兵庫県立美術館に見る 安藤建築
兵庫県立美術館が前身である県立近代美術館のある「原田の森」から移転して、新たに「HAT神戸」の地に開館したのは2002年4月のことです。はやいもので22年が過ぎようとしています。
ご存じのように、設計したのは世界的建築家・安藤忠雄。安藤氏は県下の公共施設をたくさん手がけていますが、その最初となった県立こどもの館を1980年代半ばに建てたときのことを、自著で「無駄なスペースが多すぎる」「こんなに歩かされる施設で大丈夫か」「コンクリートの建物に子供が馴染まないのでは」などと心配の声は尽きなかった、と述懐しています(『TADAO ANDO― HYOGO』2019年、34頁)。しかし、兵庫県立美術館の現在地点において、当時の「心配」が「魅力」の核心であることを疑う人はないでしょう。
企画棟とギャラリー棟にはさまれた2階と3階にANDOGALLERYがあり、その南に美術館の顔たる円形階段があります。ここから南の階段を下りてハーバーウォークでのんびりするもよし、ガラスでできた壁をひとめぐりしながら野外彫刻を鑑賞するもよし、3階にあがって「青りんご」に出会い、さらに4階へと進めば、海と山にはさまれた神戸ならではの風景と都会的な流動感を堪能できるでしょう。
(学芸員・西田 桐子)
兵庫県立美術館
HYOGO PREFECTURAL MUSEUM OF ART
■神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1■TEL.078-262-1011
■休館日:月曜 (祝日・振休の場合は翌日)
※メンテナンス休館: 12月9日(月)~12月20日(金)
■開館時間:10:00-18:00 (展示室への入室は17:30まで)