12.11
WEB版 エンタメ情報| デビュー25周年記念
小松亮太&オルケスタ・ティピカ with 彩吹真央
バンドネオン奏者・小松亮太さん
バンドネオン奏者の小松亮太がデビュー25周年を迎え、12月20日(金)、豊中市文化芸術センター(大阪府豊中市)にて記念コンサートを開催する。
タンゴの“標準”とされていた『オルケスタ・ティピカ』を率いての豪華な公演。現在ではなかなか聴くことのできないティピカの魅力を聞いた。
タンゴのビッグバンド“オルケスタ・ティピカ”
Q.“ティピカ”とは?
A.簡単に言うと、ビッグバンドです。
基本となる編成は、バンドネオン3~4台とヴァイオリン3台にピアノとコントラバス。ヴィオラやチェロが入ることもあります。タンゴでこの大人数、聴いたことのない人がほとんどだと思います。
Q.バンドネオンは少人数で演奏するイメージでした。
A.本来は、ティピカが標準だったんです。悲しいことに「お金がかかる」という理由で、最近はあまり聴くことがなくなってしまった。それを復活させたいという僕の思いに賛同してくれた素晴らしい奏者が集まりました。本当にすごいメンバー。僕も楽しみです(笑)
ブエノスアイレスにはかつて、いくつものティピカが存在していて、タンゴの名曲をそれぞれのバンド流にアレンジして演奏していたんです。アレンジャーのセンスで曲って全然違ってきますから、そこがおもしろいところでもありますね。
Q.今回は選りすぐりの名曲を名アレンジで聴くことができるんですね。
A.作曲家として知られているアストル・ピアソラも元々はアレンジャー。ピアソラのアレンジはかっこいいんですよ。革命的すぎて、当時は批判もあったくらいですから。やりすぎちゃったんですね(笑)
ちょっと話は逸れますが、アレンジャーってどの国もどのジャンルも名前を出してもらえない。作曲家には著作権があるけど、アレンジに対する権利がないのはタンゴも同じで、どんなにいいアレンジも評価されない。残念ですよね。
Q.昨年はアニメソングをタンゴにアレンジしたアルバム『コラソン・デ・アニソン』を制作しましたね。
A.70~80年代の大好きな曲ばかり。『ベルサイユの薔薇』『銀河鉄道999』『ルパン三世』…。同世代なら誰もが知ってる名曲ばかりです。アニソンって普段音楽を聴かない人でも、たいてい好きな曲があるでしょう。お気に入りの曲を見つけてくれると嬉しいですね。
一緒に演奏してくれた須川展也さんのサックスも素晴らしいです。普通のサックス奏者じゃない、神様みたいな音。ぜひ聴いてほしい。
これからのタンゴ。これからの小松亮太。
Q.以前はタンゴの未来への危機感を話していました。
A.今も変わらないんですけど…。アコーディオンとの違いがわかる人が少しだけ増えたかな(笑)。そもそもバンドネオンという楽器がなくなりつつあるから世界的に危機だし、タンゴ奏者も減っている。ブエノスアイレスでも同じことです。
でも悲観ばかりではなくて、日本では残っていくんじゃないかなと明るい未来も期待しています。日本には良いものを大切にする文化があるから。
Q.これから新たなチャレンジなどありますか?
A.長い間、ファンが多いピアソラの曲に頼ってきたけど、そろそろもっとトラディショナルなタンゴも演奏していきたいですね。
アルゼンチンで評価され受彰した、僕のアルバム『ライブ・イン・TOKYO~2002』は大切な1枚ですけど、それはオルケスタ・ティピカのライブなんです。やっぱりこういう全盛期のかっこいいオルケスタの公演を増やしたい。
タンゴには学ばなくちゃいけないことがたくさんあって、とにかく勉強して、仲間を増やす努力をしてきました。これからは、演奏することでタンゴの歴史や伝統を守りたい。歴史を築いてきた、僕の尊敬する演奏家たちへの敬意です。外国で出てくる「えっ?これがお寿司?」みたいなタンゴではいけないと思うんです(笑)
Text.田中奈都子
公演情報
【小松亮太&オルケスタ・ティピカ with 彩吹真央】
日時:2024年12月20日(金)18:30開演
会場:豊中市立文化芸術センター
詳細はコチラ
https://www.toyonaka-hall.jp/event/event-42079/
小松亮太オフィシャルサイト
https://ryotakomatsu.net/