2015年
8月号
緑の山々から海に向かって風が吹き抜ける。緑の山が街に迫ってくる感じがする

トアロードとは 北野と居留地を結ぶ緑の坂道

カテゴリ:文化・芸術・音楽

 慶応3年(1868)に開港した神戸では、外国人たちの居住が造成されたばかりの外国人居留地に限られていた。しかし、居留地の整備の遅れなどで英・仏・蘭の代表からクレームがあり、政府は明治2年に(1869)に外国人の居住を認める雑居地を指定。その範囲の中でも高台に位置する北野は住宅地として外国人に注目され、多くの異人館が建てられた。
 外国人たちのビジネスの場である居留地と、生活の場である北野地区を一直線で結ぶ唯一の道路。それがトアロードだ。明治5年(1872)頃に整備され、当時は「三ノ宮筋通」と命名されていたようだ。トアロードとよばれるようになったのは昭和に入ってからだという。
 トアロードという名の由来については諸説あるが、トアホテルが起源という説が最有力だ。トアホテルは欧米資本により明治41年(1908)に完成。丘の上のお城のような超一流ホテルで、設備や環境も抜群、紳士淑女の社交場でもあった。繁栄を極めた神戸において、海岸のオリエンタル、山手のトアと、2つのホテルが双璧をなしていたという。しかし、昭和25年(1950)に火災で失われ、現在そこには神戸外国人倶楽部がある。
 トアホテルという名称は、ホテルが建てられた場所にかつて英国人が邸宅を構え、「The Tor」と称していたことからきているようだ。「Tor」とは、ケルト由来の古英語で、高い岩や丘のこと。本来は「トール」または「トー」と読むが、トアホテルの広報担当重役がドイツ人で「トア」と発音していたことから「トアホテル」という名が定着していったらしい。
 トアロードは神戸の街の軸であり、神戸ハイカラ文化の軸でもある。馬車で行き交う外国人を対象にした洒脱な店が建ち並んで異国情緒漂い、稲垣足穂や谷崎潤一郎など文人墨客を魅了、さまざまな文学作品にも登場している。
 戦争や震災を乗り越えて、トアロードは現在、まちづくりにも熱心。再開発などで街の姿は変わっても、そのスピリッツは今も受け継がれている。

緑の山々から海に向かって風が吹き抜ける。緑の山が街に迫ってくる感じがする


中山岩太《神戸風景(トアロード)》1939年頃 中山岩太の会所蔵


セントミカエルインターナショナルスクールの校壁に描かれた各国の国旗


トアロードには、おしゃれ感度の高いショップが並ぶ


トアロードの最北に位置する神戸外国倶楽部


重要文化財に指定された「旧神戸居留地十五番館」(建物所有者:(株)ノザワ)


神戸市立博物館


カフェラ大丸神戸店

〈2015年8月号〉
神戸の粋な店 アルポルト神戸
特集 ー扉 神戸グローバルスタイル
外国人も 暮らしやすい街・神戸 フリッツ・E・レオンハートさん
オフィスも住まいも、 作り込まない〝ラフ〟な空間が 好きです 星加 ルリコさん
家族一緒に過ごせる時間と空間を大切にしています MEMEさん
人にも真珠にも、神戸の山と海、自然の光がとてもいい チョウドリー・ケタンさん
外国人が必要とするものが揃っている キラン・S・セティさん
その美、その壮、実に名状べからず かつて、東洋のウォール街とよばれた「栄町」
カミネ HUBLOT FAIR
特集 ー扉 KOBE Tor Road
トアロードとは 北野と居留地を結ぶ緑の坂道
トアロードを語る トアロードに店舗を持つ意義 「婦人帽子 マキシン」
トアロードとともに
Queen of Hoot(クイーン オブ フート)
自己研鑽し、親睦を深め、 友情のエネルギーを 社会に役立てよう!
淡路島でマツダブランドを「体歓」! 神戸マツダ ファンフェスタ 2015
国際ロータリー第2680地区 神戸西ロータリークラブ 心の「四季節」便り
連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.6
ようこそ、 榎忠(エノキチュウ)の世界へ ー 扉
高野山開創1200年特別企画展 「いのちの交響 ~空海の地で会う日・韓現代美術~…
戦争するのは、人間だけ
高野山開創1200年特別企画展
「エノチュウ」の作品に思うこと
団地共同組合神戸木工センター 伝統ある「神戸洋家具」の技術を伝えたい
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神戸のカクシボタン 第二十回
神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん) 第68回
第十八回 兵庫ゆかりの伝説浮世絵
触媒のうた 54
神戸のバーめぐり KOBE OLD & NEW vol.9
[神戸百店会NEWS]ミラノ万博「日本館」の制帽をマキシンが制作