6月号
美しきかな ひょうごの文化財|第十八回|ダイナミックで煌びやか、かつ繊細な六曲一双屏風
公益財団法人香雪美術館
重要文化財 柳橋水車図屏風
(桃山時代/16~17世紀)
金の橋と柳を中心に、月、水車、蛇籠が大画面に描かれた「柳橋水車図」。ダイナミックな構図と繊細で煌びやかな装飾が好まれ、17世紀初めごろ人気を博した。制作例は多く、六曲一双の屏風図30例以上の現存が確認されている。中でも、香雪美術館所蔵「柳橋水車図屏風」(以下、香雪本)は、「等伯」(長谷川等伯、以下、等伯)の印が捺されていることから作者が判明する最古の作品として、2026年春、新たに国の重要文化財指定された。
銀箔を重ねて厚みを出したうえで細く線状に截ち切る截金(きりがね)で表された波文の独特な輝き、切箔(きりはく)によって構成される金雲表現の丁寧さなど、装飾性の高さと美しさは他の作例と比較しても群を抜いている。
構図には、新たな時代を迎えて既存のものとは違った価値観を求める人々の期待に応える果敢な挑戦が見られる。古来、宇治をモチーフにするやまと絵では、京都側から宇治橋を西に向けて架け、平等院阿弥陀堂「極楽浄土」へと人々をいざなっているが、柳橋水車図では右下から左上へと逆方向に描かれている。伝統的な図様や概念を打ち破る表現を等伯がその力量をもって描いた作品の一つといえる。
穏やかな弧を描く橋、蛇籠や波文、柳の葉に見られる同一図形や同一単位を連続・反復させる造形感覚と描写は、様々な漆工や染織など工芸品の図案としても用いられてきた。定型化した図様の成立過程や周辺状況をはじめ、柳橋水車図には解明されていない部分がいまだ多い。その成立と展開、また、既存の権威・狩野派に立ち向かったといわれる長谷川派の展開と等伯の画業を考察するうえでも、香雪本に期待が寄せられている。
※「柳橋水車図屏風」は、特別展
「インコ イズ カミング!香雪美術館
コレクション×川上和歌子~ピコ&ピータといっしょに古美術鑑賞~」後期(8月1日~30日)で展示予定


六曲一双「柳橋水車図屏風」16~17世紀 桃山時代 香雪美術館
波文、柳の葉、蛇籠、水車などの文様は工芸品の図案として見ることができる
中之島香雪美術館
大阪市北区中之島3-2-4
中之島フェスティバル・ウエスト4階
℡06-6210-3766
香雪美術館(御影)は改装工事に伴い長期休館中












