8月号
日本青年会議所全国大会が48年ぶりに神戸で開催 美しく生まれ変わった 神戸のまちを見ていただきたい
2026年10月2日~4日、公益社団法人日本青年会議所第75回全国大会が48年ぶりに神戸で開催されます。
一般社団法人神戸青年会議所の卒業年度に全国大会(当時は全国会員大会)を経験した上島達司氏、
神戸青年会議所第68代理事長を務める松井隆昌氏、OB、現役というそれぞれの立場から全国大会開催の
意味やこれからの神戸のまちのことなど語り合っていただきました。
神戸青年会議所と
日本青年会議所で学んだこと
上島 私が神戸青年会議所に入れていただいたのは26歳のとき、日本経済は高度成長期、1969年の缶コーヒー発売開始に向けて社業に励んでいた頃で、4年ほどは青年会議所の活動はほとんど何もできず、本腰を入れたのは30歳を過ぎたころからでしょうか、30代半ばで日本青年会議所へ出向させていただき、いろいろな方と知り合う機会を頂きました。神戸青年会議所では人の温かさを直に感じることができました。日本青年会議所では、その規模の大きさゆえの運営の難しさがあります。ローカルな組織と全国的な組織との違いや、それぞれの長所を自分の目で見て、感じて、たくさんの勉強をさせていただきました。
松井 私も日本青年会議所に出向させていただきましたが、組織の規模感の違いには大きなものがあると思いました。地域課題を解決する神戸青年会議所と、日本全体の課題を見ながら世界に相対する日本青年会議所とは向き合っているものの大きさが全く違います。行ってみて初めてマクロとミクロ両方の視点があることを知りました。熱量が高いメンバーが全国各地から集まってくるのですから、正直ちょっと腰が引けて、ドキドキ(笑)。実際行ってみて、怖いかなと思っていたメンバーたちも仲間であり、同じ思いで活動をしていることが分かりました。
上島 私が青年会議所で活動していた頃は、外食元年といわれた1970年、大阪万博が開催され弊社も納品させていただきました。非常に好調で、そこで気をよくして、「ポートピア,81」出展に一番に手を挙げさせていただきました。後から知るのですが、それがポートピア,81の総監督をされていた阪急の小林公平さんの印象に残っておられたようで、1987年のタカラヅカの海外の演目「ME AND MY GIRL」の冠スポンサーに声を掛けていただき、それ以来、阪急さんとは長く良いお付き合いをさせていただいています。社業も青年会議所の活動も同じで、長い年月の中での出来事は、良くも、悪くも、後から影響してくるものです。いろいろなことがあるとは思いますが、40歳までの青年会議所でのお付き合いが、後々響いてくることがあるはずです。それが青年会議所の変わらずいいところかなと思います。
48年ぶりの全国大会開催
現役、OB、それぞれの思い
松井 第75回全国大会は日本青年会議所が主催し、神戸青年会議所は主管という役目を担います。今回のテーマは「幸せな未来へ」としました。日本青年会議所の1年間の事業の集大成を発信する場であり、次の代へと引き継いでいくことが開催の目的です。全国から集まる約1万人のメンバーがGLION ARENA KOBEで一堂に会し、日本青年会議所会頭の総括、40歳を迎えるメンバーの卒業式などが行われます。
上島 年前、神戸で全国大会(当時は全国会員大会)が開催された年、私は卒業年度で、日本青年会議所から帰ってきたところでしたので、あまり寄せてもらえなくて(笑)、周りの若いメンバーがみんなでワイワイやっていましたね。式典は神戸文化ホールの真ん中にステージを設けて、それを参加者が囲むという新しい形で開催され、全国から来たメンバーに喜ばれました。
松井 神戸で開催された日本青年会議所の大会としては 1994年の世界会議があり、その数カ月後に阪神・淡路大震災が起き、神戸のまちはどん底に陥ります。先輩方につくっていただいた青年会議所のつながりのお陰で多くのメンバーの皆さんが阪神間の支援に来てくださいました。積み重ねてきた友情があるからこそ、復興するまでの30年間を支えていただきました。神戸で大きな大会は32年ぶり、震災以降初めて神戸に集まっていただく機会ですから、美しく生まれ変わった神戸のまちを現役、OBの皆さまに見ていただける最高の機会だと思っています。
上島 また大きな大会を神戸に引っ張ってくることができたということは、神戸青年会議所に改めて大きな力が付いてきた証だと思います。現役が頑張ってくれているからOBも「神戸青年会議所は我々が育ててきたんです」と胸を張って言えます。嬉しいですね。現役メンバーに感謝します。
松井 現役メンバーが手を挙げて日本青年会議所の承認を得て開催が決まったのですが、全国大会を主管すると、日本青年会議所シニアクラブ全国大会も開催することになると知り、先輩の皆さまも巻き込んでしまうことになりました。全国からシニアの皆さまが同じタイミングで集まられるわけですから、講演会の準備や広報など、現役メンバーと変わらない活動量でご準備いただいている状況です。情報を共有しながら、どちらも成功させなくてはいけません。先輩方のご尽力に感謝しております。例年に比べてもOBの皆さまとコミュニケーションを取る機会が多く、私も上島会長と何度もお会いしていろいろなことを教えていただけるのは、とてもありがたいことだと思っています。
上島 青年会議所を卒業するとそれぞれ新しい団体に所属したり、仕事も忙しくなったりと、たとえ青年会議所のOB会に所属していてもだんだんと会う機会もなくなってしまいます。こういった旧交を温める機会を頂き、OBたちの活性化にもつながり、こちらこそありがたいことだと思っています。
市民の皆さまと神戸のまちを
〝共〟有し〝創〟り上げる
松井 今年度のスローガンは「PROGRESS〜共創都市神戸へ〜」。これを機に神戸のまちがさらに一歩前進するための経験を市民の皆さまにも提供し、共有できたらいいなと考えています。全国大会開催準備段階として2022年から「KOBE AUTUMN FESTIVAL」を4回にわたって開催してきました。開港以来、さまざまな文化を受け入れ、日本流に組み立て直して発信してきたのが神戸です。開港当時のような熱量で「何かをやりたい」という思いがありました。それは、神戸青年会議所が「やりたいから」というものではなく、震災復興の中で行政が環境を整えているのであれば、神戸青年会議所としてソフトの部分を強化していこうというものです。まちの使い方を変えていくような提案を神戸市や市民の皆さまに向けてできたらいいかなと、道路封鎖型事業としてスタートしました。
最終年の今年は3カ所の道路を封鎖してイベントを実施し、三ノ宮駅前から、今最も大きく変わりつつあるウォーターフロントへと動線を作り、かつ、ウォーターフロント内での横の動線を活性化させたいという想いを持っています。カモメリアとTOTTEI PARKを船で繋ぎ、人の海上輸送を2日間で行います。両乗船場の付近では子供の体験型事業を実施します。神戸の街をまさに縦横無尽に人が行き交う壮大な社会実験を通して、街の新たな可能性を開発する機会をつくります。
上島 いい試みですね。最近はまた改めて青年会議所の力が認められ始めているようです。「KOBE AUTUMN FESTIVAL」のように神戸の活性化に役立つ事業を進めている様子を見て、その行動力に注目しているのだと思いますよ。「青年会議所にこんな話を持って行ってもらえないか」と依頼されることがしばしばあります。若い人たちの考えも聞き、仲間に入ってほしいと思っているのでしょうね。間に入って力になりたいのはやまやまですが、私もこの歳ですから、直接話してもらえたらありがたいんですがね(笑)。
松井 私たちは能動的市民という立場でまちに関わっています。「共創」という言葉にはそういう意味を込めています。市民目線で提案し、さらにそれを行政の取り組みとは違った角度から、社会実験など実働という形に結び付けています。「動いている」と認めていただいているとしたら嬉しいことです。しかし、私たちが一日、二日の事業を実行したところで、まちが大きく変わるわけではありません。先輩経済団体の皆さまとも交流を深め、コミュニケーションを取らせていただき学ぶべきことがたくさんあると思っています。
上島 人がいてこその、まちです。若い人たちには、他所にはない新しい発信をしていただきたい。今は難しい世の中ですが、私たちのころのように、もう少し気楽にチャレンジしてもいいんじゃないかな。ダメならやめたらいいんですから。杓子定規ばかりでは新しい文化は生まれないと思いますね。
これからの神戸のまちへの思い
上島 神戸の再整備は30年遅れですが、「後手の先手」という言葉があります。30年遅れているだけに先輩都市の良いところを取り入れながら、いいまちが出来上がるのではないでしょうか。坂があって、洋館があって、外国人が生活している。それは私たちの古いイメージかもしれません。今の若い人が神戸のまちの新しいイメージをどんなふうに作っていってくれるのかを楽しみにしています。
松井 まちの構造が変わってきている中で、どんな文化やソフトを入れて発信していくのかが重要な課題です。それを神戸の地場の企業やこのまちで働きたいという人たちと一緒にソフトを作っていくことで魅力を高められるのではないでしょうか。コンパクトシティーの中に魅力がギュッと詰まったまちになってほしいですし、神戸青年会議所としても、そのために動きたいと思っています。
神戸は戦災、震災、コロナなど幾つもの困難を経験しながら、その都度立ち上がってきた強いDNAを持っています。震災後31年目の今年、全国大会を通して、次のビジョンに向けて動き出すきっかけになればいいと強く願っております。
上島 今回の全国大会のようなイベントをこれからも神戸に引っ張ってきてほしいですね。大変でしょうが、まちや人の活性化につながりますから頑張ってほしいと思います。及ばずながら応援させていただきます。


5月に神戸で開催された日本青年会議所2026年度国家グループ全国大会運営会議

日本青年会議所第75回全国大会の会場となるGLION ARENA KOBE




全国大会に合わせて開催される「KOBE AUTUMN FESTIVAL」

6月18日UCCジャパン株式会社神戸本社にて


松井 隆昌 (まつい たかまさ)
プロフィール
1986年神戸生まれ。2009年甲南大学卒業。2019年神戸青年会議所入会。2022年地域価値創造特別委員会委員長として、第1回目となるオータムフェスティバルに携わる。2023年理念共感室常任理事。2024年副理事長。2025年政策顧問、日本青年会議所サマーコンファレンス特別委員会委員長。2026年神戸青年会議所第68代理事長。株式会社亀井堂総本店取締役社長(5代目)

上島 達司(うえしま たつじ)
プロフィール
1938年 神戸市生まれ。1961年 甲南大学卒業。1963年上島珈琲株式会社入社。1980年 代表取締役社長。2009年 UCCグループ代表·代表取締役会長。2024 UCC ジャパン株式会社代表取締役会長に就任、現在に至る。全日本コーヒー協会の第4代会長、全日本コーヒー公正取引協議会、日本家庭用レギュラーコーヒー工業会、日本スペシャルティコーヒー協会の初代会長を歴任し、日本のコーヒー業界の発展に貢献。1963年神戸青年会議所入所。1974年神戸青年会議所第16代理事長、1976年日本青年会議所副会頭を務めた












