10月号
建築構造 インサイト|Chapter 12 神戸ポートタワー
神戸ポートタワー
「どう建てるのか?」を追求する平尾工務店にとって、構造は大きなテーマです。おなじみの建物から世界的名建築までさまざまな建築物について、「構造」という視点を交えながら一緒に学んでいきましょう。
神戸のシンボルとして親しまれている神戸ポートタワーの竣工は1963年です。前回は構造をあえて即物的に露出し意匠の要素とするブルータリズム建築をご紹介しましたが、このポートタワーは荒々しくはなく優美さが際立つものの、年代的にもそのムーブメントにある建築ではないでしょうか。
神戸港開港90年を記念するプロジェクトとして計画されたポートタワー。折しもカラーテレビ放送開始に合わせ名古屋テレビ塔、東京タワーなどが電波塔として建設されるなどタワーブームで、当時の神戸市長、原口忠次郎がオランダ、ロッテルダムのユーロマストに劣らぬタワーをと構想を進めます。
もともと内務省の土木技師という原口の厳命に応えたのが日建設計のプロフェッショナルたち。意匠を担当する廣瀬二郎は隣接するポートターミナルとの景観の一体化を意識しつつ、数学的にも美しい形を追求します。そこで考案したのが一葉双曲線。上円と下円の直径をそれぞれ15m・25m、高さを95mとして、135度ねじったいわゆる鼓型のアイデアが生まれます。この形の外筒に、エレベーターなどを収納する円柱型の内筒を入れ子にするという基本構造を具現化すべく、構造担当の多田英之は外筒にH形鋼やL形鋼ではなく、円形断面の鋼管を採用します。しかし、この鋼管構造は世界的に前例がないので、強度を確かめるべく風洞実験や耐震実験がおこなわれました。
外筒は左斜め方向、右斜め方向へそれぞれ16本の鋼管が地上と屋上を結び、19のリング材を鋼管の交差部などに適宜設けますが、建設時は104のブロックを工場で製作して現場でそれを組み上げる手法を採用。内筒も同様に24のブロックに分けて工場作成、現場で組みました。ブロックは接合用金物で結合しますが、ここにリング材や内筒と外筒を結ぶ引張材も高力ボルトで締め付け、構造材の接点を集約しています。
東京タワーに代表される電波塔は頂点までの高さが求められるため四角錐型で、展望室は頂上部に設置できません。また、接地面は四隅だけなので独立基礎になり、その部分に重力が集中します。一方、ポートタワーは観光客が頂上部まで登れ、その形状から展望室の面積を広く取ることも可能です。また、接地面も大きいためベタ基礎となり、その下に265本の基礎杭を打ち込むことで埋立地の軟弱な地盤に対応。つまりデザイン性だけでなく、機能面や土地条件との適合性においても秀逸な構造なのです。
たまにはわが街、神戸を見守るポートタワーを訪ねてみてください。構造に思いを馳せればきっと、新たな魅力を感じるでしょう。

神戸ポートタワー。高さは頂点まで108m(竣工当時は103m)、内筒は100m、外筒は約95m

ポートタワー外筒の軸組












