07.23
WEB版エンタメ情報|『生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会』 ヴァイオリニスト 渡辺紗蘭さん
漫画『のだめカンタービレ』から生まれたコンサート『生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会』が20周年を迎えます!
アニバーサリー・イヤーとなる今年のタイトルは、
1日目(8月15日)「オール・チャイコフスキー・プログラム」
2日目(8月16日)「ロシア音楽特集」。
“のだめ音楽会”によるアンケートで、聴きたい曲の上位にあがる人気の作品、誰もがどこかで聞いたことのある名曲が揃いました。
原作・二ノ宮知子さんも大好きだと話す、チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』のソリストをつとめるのは渡辺紗蘭さん。先月、カナダで開催された『モントリオール国際音楽コンクール』で、第2位、特別賞を受賞したばかりの、若きヴァイオリニストです。チャイコフスキーの協奏曲のこと、コンクールで弾いたバルトークのお話など、うかがいました。
チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』のこと。
―2年ぶり2度目のご出演、今年は20周年です!
『のだめカンタービレ』、愛されていますね。この音楽会も毎年楽しみにしているお客様が多いと聞いていますし、会場の兵庫県立芸術文化センター(芸文)は、大好きな舞台なのでとてもうれしいです。今回演奏するのは、チャイコフスキーの中でも特に有名な『ヴァイオリン協奏曲』。私も大好きです。
―チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲ニ長調』。渡辺さんにとって、どんな曲ですか?
奥が深くて、勉強し続けなければいけない曲だと思っています。
以前コンクールで、1楽章を演奏した際に、審査員の先生から「一生かけて研究していく曲だよ」という言葉をいただいたのですが、本当に一生かかると思います。一生でも足りないかも。
難しいけれど、オーケストラで演奏した時は「楽しい!」という思いが先でした。弾きやすいし、ノリやすい。楽しいと思えたところは、なくしたくはないですね。
―聴きどころを教えてください。
1楽章は、シンプルな旋律の中のメロディックな部分をどう歌うか。細かい音符のすべてに意味があって、その一つひとつを表現しなければならないので、表現力が重要です。そこが難しいところですが、演奏者の個性が出る、おもしろいところでもあると思います。
2楽章は、5〜6分ほどの短い曲ですが、1楽章の華やかさとまったく違って、苦しみが表現されています。ここまでの苦しみ、重さ、暗さは、他の協奏曲にはほとんどないかもしれません。
3楽章は、聴いている人も楽しいと思うし、弾くのも楽しい。双方が楽しい。そこが大きな魅力です。ロシアの民族舞踊を元にしたメロディを最初から最後まで歌っています。
1楽章から3楽章まで、表現したいことがそれぞれ違うので、通して聴くのはおもしろい協奏曲ですね。それに、とにかくロマンティック。チャイコフスキーの世界に浸ってもらえるよう、演奏をしたいです。
―表現力が重要とのことですが、表現力をつけることは難しそうですね。
テクニックとは違って練習して身につく力ではないので、確かに難しいですね。でも私は、そんなに難しく考えてはいなくて、日常で経験したことが音楽の表現につながると思っています。学生としての楽しい時間も必要だし、練習だけの毎日になる方がよくないと思う。友だちと出かけたり、美術館に行ったり、スポーツ観戦も好きだし。特別なことをしているわけではないけれど、日常を大事にしています。
『モントリオール国際音楽コンクール』第2位!
―先月開催された、第24回「モントリオール国際音楽コンクール」のヴァイオリン部門で第2位、モーツァルト賞(特別賞)を受賞されました。
モーツァルトラウンドは落ち着いていたのですが、グランドファイナルはこれまで経験したことのないくらい緊張しました。
演奏後すぐに先生に電話して、「よく弾けてたわよ」と言っていただいて安心しました。
―モーツァルト『ヴァイオリン協奏曲』の演奏で、特別賞を受賞されたのですね。
モーツァルトは小さい時から好きで弾いていましたし、私の朝のアラームはモーツァルトです。なので、今回いただいた特別賞は最高にうれしかったです。
私は整理整頓されたシンプルな曲、特に古典が好きで、ベートーベン、シューベルトも演奏していると気持ちがいい。自分に合うのだと思います。ドイツ音楽のように計算された、きっちりした曲に惹かれます。
―グランドファイナルは自由選択。バルトーク『ヴァイオリン協奏曲第2番』を選ばれたのですね。
「君はバルトークがいいよ」と先生がすすめてくださった曲です。技術的に難しくて、オーケストラと合わせるのが大変というイメージがあって、コンサートでもあまり聴く機会もない。自分が演奏するイメージがパッとは浮かばなくて、「どうしてこの曲?」と思いました。
それがあらためて聴いてみたら「あ、弾きたい!」と。弾いてみたらすぐに、フィーリングが合うのがわかりました。
バルトークはハンガリー生まれ、民族音楽を研究していた作曲家です。その民族的なところに、何か通じるものがあるのかな。自分では気づかない個性を、先生が引き出してくれたことに感謝しています。
―コンクールを共にした楽器について教えてください。
日本ヴァイオリンソサエティさんから貸与を受けている、1690年製『テストーレ』を使っています。コンクールの半年くらい前からです。
テストーレはやんちゃな人で、感覚で作るタイプの職人だったようですが、この楽器は見た目が繊細で綺麗。テストーレの作品としてはレアらしいです。イタリアの名門『アマティ』をモデルとしています。アマティは、ストラディバリウスの師匠でもある人です。
私はこの楽器の高音が好み。強さと深みがあって、大ホールでの演奏に向いていると思います。サイズ感もよくて、板の厚みとボディの膨らみ具合が身体にあっています。楽器を変えることは、ヴァイオリニストにとっては結構大きな出来事なのですが、この楽器への不安はなかったです。
現在は大学4年生。これからのこと。
―いま演奏したい曲を教えてください。
ここ数年、本当に願っているのは、メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲』。この曲は、TBSドラマ『さよならマエストロ〜父と私のアッパシオナート〜』の劇中で演奏したのですが、第2楽章だけだったんです。すごく光栄でしたし、幸せだったのですが、全楽章を演奏したいという心残りも生まれてしまいました。
―昨年に続き、芸文が主催している関西ゆかりのアーティストによる『ワンコイン・コンサート』にも出演予定です。
そうですね。ソロも室内楽も、いい機会をいただいています。
西宮市出身なので、芸文は地元ですし「よかったよ!」というあたたかい声もたくさんいただくことができて励みになります。特別な舞台です。
―大学4年生ですが、卒業後はのだめちゃんのように海外へ?
そうしたいと思っています。まだ決まってはいないのですが、将来、どこへでも行けるように語学を勉強しています。海外での生活も楽しみたいです。
―渡辺さんは阪神タイガースファン。甲子園が遠くなりますね。
大丈夫、海外でもテレビで応援します(笑)。
いつか甲子園で『六甲おろし』を演奏したいんです。芸文の舞台に立つ夢は叶ったので、きっといつか!
text.田中 奈都子

プロフィール
渡辺紗蘭(Sara Watanabe)
2005年生まれ。兵庫県出身。第91回日本音楽コンクール第1位、2026年モントリオール国際音楽コンクール第2位及びモーツァルト賞受賞の経歴を持つ。東京音楽大学の特別特待奨学生として在学中。小栗まち絵、原田幸一郎、竹澤恭子の各氏に師事。
公演情報
『生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会』
日時:2026年8月15日(土)・16日(日) 15:00 開演
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
企画・指揮・おはなし:茂木大輔
ソリスト:15日 渡辺紗蘭(ヴァイオリン)/16日 太田糸音(ピアノ)
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
詳しくはコチラ
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/12745












