2026
06.05

WEB版エンタメ情報|60th Anniversary Tour 森山良子コンサート2026~Life is Beautiful~
森山良子さん

カテゴリ:Web限定

デビュー60周年を迎え、全国ツアー『60th Anniversary Tour~Life Is Beautiful~』 真っ最中の森山良子さんにお話しいただきました。歌声と同じく澄んだ声で、最新アルバム『Life Is Beautiful』の制作秘話やアメリカ留学の話、コンサートのこと、ところどころで歌いながら、からだを揺らしながら…。そんな素敵な森山良子さんの「いま」をお伝えします。

2026年は『60th Anniversary』

ー60周年おめでとうございます!

ありがとうございます。私は長い間、コンサートで歌ってきました。1番大好きなことですし、たくさんのお客様に聴いていただいて、幸せな人生だなと思います。
来年1月には、東京・日本武道館でのコンサートを息子の森山直太朗が企画してくれました。女性アーティストの公演では最年長記録になるそうです。これから先の人生も楽しみです。

ーコンサートでは衣装がいつも素敵です。

普段もそうなのですが、自分らしいものを選んでいます。カジュアルもフォーマルも、いつも自分らしく。コンサートの最後に着るドレスは決めている色があって、それはもうずっと変わらず。
変わってきているのは靴ですね。以前はハイヒールでしたけれど、自由に動くことができるように、衣装に合うスニーカーをいつもスタッフが用意してくれます。そんなところも年相応、自分らしくいたいです。

ー舞台の装飾も森山さんのご希望だとか。

切り絵作家の柴田あゆみさんがお作りになる世界観が好きで、2020年からお願いしています。舞台は天井が高いので、とても大きいサイズなのですが、柴田さんは小さい作品をお作りになるのと同じように一枚一枚、手作業。和紙を何枚も重ねた真っ白な森は、歌手として「どんな色にも染まりたい」という私の気持ちと重なりますし、彼女の芸術が飾ってくれる舞台に立つと心強く感じます。

大江千里さんプロデュース
『Life is Beautiful』

ーツアータイトルにもなっている『Life is Beautiful』は、大江千里さん書き下ろしのアルバムですね。

「私、子どもの頃はジャズシンガーになりたかったのよ」。
はじまりは、千里さんとの食事しながらのおしゃべりでした。30年以上前からのお友だちなんです。会う度にワインを飲んで、笑って、楽しいことを話して。
千里さんから「良子さん、ニューヨークでアルバム作りませんか」と言われた時はとってもうれしくて、「行く!行きます!!」ふたつ返事でした。
私の父はジャズトランペッターだったので、家で流れている音楽はジャズ。エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデー…。幼い頃から憧れていました。

ーレコーディングまで何度もニューヨークに通ったそうですね。

長い間、大事にしてきた夢ですから、とにかくこのアルバムは時間をかけて大事に作りたかった。これは千里さんとの共通の考えでした。
私は、これもやりたかったことの一つなのですが、ニューヨークでジャズのレッスンを受けることから始めました。
マンハッタン・トランスファーのジャニス・シーゲルさんのレッスンでは、ジャニスさんが歌ったその声が、聞いたことのない “ すごい声 ” で、もうただただ感激。私の歌を聴いて「大丈夫、大丈夫。あなたはジャズを聴いてきたから」。そんなふうに話してくださって、クッキーと紅茶をごちそうになりました。
ほかにも、先生と一緒に歌っていたらアドリブの掛け合いになって、すごく盛り上がってきて、最後には「イェーイ!!」ってハグしたり。おもしろい出来事がたくさん。
若いシンガーたちのグループレッスンに参加した時は、全員で『On The Sunny Side Of The Street』を歌ったりして。そんな経験はなかったから楽しくて楽しくて。先生は1人1人をよく見ていて、言葉掛けひとつで歌がグンと良くなっていく。人にとって、心からかけてくれる言葉がどれだけ大きなものかを目の当たりにして、とっても感動しました。
「学ぶ」というより、心からジャズを楽しんでジャズを感じて、そしてジャズがますます好きになりました。

ー聞いているだけで楽しくなってきました。

千里さんとはニューヨークに行くたびにお稽古して、千里さんが日本に帰ってこられた時もお稽古して、そしておしゃべりして…。
そんなふうに過ごした、たくさんの時間を歌詞に詰め込んで、メロディにのせてくれました。「あの時のお話だわ!」「こんな昔のことを覚えててくれたんだ!」って、自分でも楽しくなっちゃうくらい愛情たっぷりの日本語の歌詞。本当に私らしい、森山良子のジャズが出来あがりました。
レコーディングでは、千里トリオの愛情も感じて「ニューヨークに来てよかった!」と幸せを感じながら歌うことができました。

ー “ 良子ジャズ ” をコンサートで歌うようになっていかがですか。

レコーディングではメロディと歌詞を伝えることを意識したので、ストイックなアルバムになりましたけれど、私には「ジャズは崩すのがおもしろい」という考えがあるので…。「崩す」といっても曲がわからなくなるようなことではなく、歌っている時の気分を入れてもいい、という意味ですね。コンサートでは、私が思うジャズっぽさをどんどん入れています。
『MORIYAMA』は、お客様も一緒に声を出してくれるようになって、ますますおもしろい曲になってきました。

ーアルバム完成後、大江千里さんとはどんなお話を?

「好きに歌ったらいいと思う」と言って、私が楽しく歌うことを応援してくれています。
音楽が心から本当に大好きで「みんなで楽しもう!」という大きな気持ちをもっている方なので、千里さんだから私はアメリカに行くことができたと思います。
彼は日本でビッグアーティストだったのに、もうひとつの夢のために「ジャズを学びたい!」って、前だけを向いて飛んで行きました。ジャズピアニストになるためにものすごく努力して、今では相当の腕っぷしだけれど、今でも努力し続けている。
とってもやさしくて、迷子になったら助けにきてくれる。それから、とっても食いしん坊さんです。

「一緒に作ろうよ!」から生まれた音楽

ーこれまで歌ってきた作品で、特に印象深い歌はありますか?

『涙そうそう』との出会いは特別ですね。
BEGINと出会って「一緒に歌を作れたらいいね」って話をして。ある日、滞在していた長野のホテルに『涙そうそう』と書かれたカセットテープが送られてきました。
「なみだ、そうそう?」。意味がわからないので電話して聞いたら、「涙が溢れて止まらなくなること」と。そう聞いた瞬間、涙が溢れてきました。
23歳で亡くなった兄への想いが溢れてきたんです。中学高校とバスケットボールをやっていた健康な兄だったのに、心不全で突然いなくなってしまった。その悲しみをずっと胸の奥にしまい込んでいたんです。そうしないと涙が溢れてしまうので。その気持ちが一気にうわぁっと、溢れて止まらなくなった。
ホテルの部屋でそのまま、そのままの気持ちを書いた、それが歌詞になりました。
この歌ができてからは、悲しい気持ちを奥の方に隠して押しつぶすのではなく、天に向かってちゃんと歌うことにしました。歌うことへの勇気をくれた歌です。

ー森山さんの「一緒に作ろう!」は音楽を生むのですね。

そうかもしれません。
大阪・関西万博のジャズライブでご一緒した、トランペッターの広瀬未来さんにも「また一緒にやりたいね」と話していて、ちょうどこの5月に東京Blue Noteでライブが実現したところです。楽しいと「また一緒に!」って思うし、そう言葉にしますね。「一緒に」は舞台にいる私たちだけではなくお客様も「一緒に」。それが私の好きな音楽です。

ー歌い続けるために大切にしていることはありますか。

息子から「1番印象に残っているステージは?」と聞かれたことがあるのですが、国内外の色々なところで歌ってきたのに、そのとき心にあったのは、前々日に立ったステージだったんです。大きいとか小さいとか有名とか、そういうことではなく、常に直近のステージが1番力を入れたもの。遠くにある通り過ぎたものよりも、今あるものへの意欲が、自分の中では1番大切なのだと思っています。
それから、小学校卒業時からクラシックの歌の指導を受けていたのですが、先生の教えは大事にしています。心配事があるとすぐに駆け込み寺のように相談に行っていました。
「ざわわ~」の「ざ」がきれいに入れないとか、「古いアルバムめくり~」の「ふ」が暗くなっちゃうとか。先生は一緒に考えてくれて、「良子ちゃん、こうするといいわよ」っていつも丁寧に教えてくださいました。教わったことをあげたらキリがないくらい。

ー学ぶことを大事にしていらっしゃるのですね。

私の声を聞いて私に合わせて教えてくださるので、できる限りお会いして指導いただきたいですね。
昨年の夏は、ボストン・バークリー音楽大学でレッスンを受けました。自分の歌について確かめたいことがあって、それが、残してきた忘れものみたいに気になっていたんです。先生から「OK、OK!」「Beautiful!!」って言っていただいて、ようやくホッとしました。

大阪公演、神戸公演。ホールへの思い。

ー大阪公演は10月、フェスティバルホールでの開催です。

フェスティバルホールは、リニューアル前の旧フェスティバルホールの頃から立っています。いろんなアーティストと共演もしましたし、思い出深いホールです。
ホールは、アーティストが歌う声、呼吸、楽器の音、お客様の拍手などを、長い期間、吸い込んで徐々に作られていきます。それがホールの在り方なので、新しくなるとまた最初に戻ることになるんですね。
ですがフェスティバルホールは、新しくなっても最初から人が作る温かみを感じました。多くの方の思いと技術が結集されたんだなと感じています。

ー神戸公演は6月27日(土)です。神戸のファンにメッセージをお願いします。

神戸はすごく久しぶりです。
1995年震災の時、炊き出しのお手伝いができないかと思って神戸に行きました。けれど「炊き出しではなく歌ってくれませんか」と言っていただいて…。こんな時に歌っていいのだろうかと悩みながらも、自分にできることで力になろうと心を決めて、急遽ギターを用意して避難所をまわりました。
「歌を聴きたい」と言ってくださる人がいるのなら歌おうと思った、あの時の気持ちは忘れません。
神戸が元気になっていくのをずっと見ていました。
また神戸で歌えることを楽しみにしています。

text.田中 奈都子

【公演情報 】

60th Anniversary Tour
森山良子コンサート2026~Life is Beautiful~

■神戸公演
日時:2026年6月27日(土)16:00開演
会場:神戸国際会館こくさいホール
詳細はコチラ https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/12644

■大阪公演
日時:2026年10月18日(日)16:00開演
会場:フェスティバルホール
詳細はコチラ https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/13057

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