12月号
出会いと学びの旅から Vol.12
ネブラスカ州のボーイズタウン
ネブラスカ州オマハ市の郊外に「Boys Town」という少年たちが暮らす地域があります。ここはさまざまな事情で親と暮らせない少年たちが生活している、日本でいえば児童養護施設になります。世界的に知られたこのボーイズタウンは1917年にフラナガン神父によって設立されました。私が訪問した当時、1700エーカーの土地に50以上の建物が建てられ、10歳から16歳までの青少年900人が生活していました。このボーイズタウンについては1938年と1941年とに2度映画化され、フラナガン神父を演じたスペンサー・トレーシーはこの映画でアカデミー主演男優賞を受賞しています。ボーイズタウンは教育施設でもあるので、独自の教育理念を持っており、学校教育はネブラスカ州で定められた正規の授業の他に多くの職業教育、すなわち木工、製パン、理髪、印刷、洋裁、電機機械なども行われており、特に広々とした農場での牛や馬の飼育、野菜の栽培など、豊かな自然の中での実地教育はここの特色の一つで、フラナガン神父の理想とした教育でした。おもしろいのはこの町の運営方法で、少年たちは自分達の自治組織を持ち、彼らの中からこの町の市長、4人の議員、25人の委員を選び、自主的に町を運営していることです。ここの「ボーイズタウン合唱団」は毎年国内はもちろん、海外にも演奏して回り、その美しいハーモニーは一流の折り紙がつけられています。
神戸市の塩屋に「少年の町」という児童養護施設があります。昭和22年にフラナガン神父が来日したとき、佐々木鉄治神父らが中心となって設立されました。ボーイズタウンの合唱団が1967年に来日し、神戸国際会館で公演をした時、この少年の町を訪問しています。私もこのとき、公演を聴きに行ったのを覚えています。
この町の食堂で、私はフラナガン神父の没後、活動を引き継いでいるウエグナー神父に出会いました。長身でエネルギッシュな感じの神父と握手したときの大きな手の重みと日焼けした赤ら顔が印象的でした。
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