3月号
<インタビュー>未来島と社会貢献
(財)淡路島くにうみ協会 理事長
淡路信用金庫 理事長
瀧川 好美さん
―「あわじ環境未来島特区」が国の地域活性化総合特区に指定されました。推進協議会会長、そして淡路島くにうみ協会理事長でもある瀧川さんの思いをお聞かせください。
瀧川 全国77の申請があり最終的に26の地区が選ばれました。その中の一つだったことは大変うれしいことだと思っています。これから地元が力を発揮していかなくてはいけません。他の地区とは違い、淡路は地形的に島で一体的に取り組めるという環境です。是非とも、国から「特区にして良かった」と言ってもらえるような取り組みを進め、成果を上げたいと思っています。
―国と兵庫県、淡路島3市が話し合いながら決めていくことになるのですね。
瀧川 国や兵庫県、淡路島内3市がリードしてくださるのは確かですが、やはり大切なことは、島民自らがいろいろなことに参画しようという気持ちをもつことです。かつて安藤先生(建築家・安藤忠雄氏)にも「いいことだから、いくらでも応援しますよ。でも地元がもっと沸いてくれなくては…」とご助言もいただきました。
―島の人口が減少していることも問題ですね。島の将来を考える上で、何が必要だと思われますか。
瀧川 島で暮らしていくためには働ける所がしっかりしてもらわなくては。働く場所が少ないということですから。
高校卒業後、大学進学は島の外へ行ってしまいます。総合大学は無理としても、例えば農業を目指す人が集まる大学とか島に調和した大学が淡路にあってもいいのではないかと思います。
―信金ネットワークで淡路に人を呼び込む活動もされてきましたね。
瀧川 お互いに団体旅行のお客さんを紹介し合うなど、信用金庫の横の繋がりとしてずっと続けています。現在はネットワークを使って産業や産物の展示会の開催も行っています。
―信用金庫としては何か特に考えていることはありますか。
瀧川 具体的に決定された件はありませんが、自然エネルギーの太陽光発電などのファンド等地域で行う事業には積極的に地域金融機関として協力していきたいと思っています。
―特区として太陽光発電の特別な助成などがあればいいですね。
瀧川 余剰電力を電力会社に買い取ってもらう制度が考えられていますが、価格など詳しい内容はこれからということのようです。その結果を見てから検討できればと思います。
―淡路は太陽光発電には最適な土地柄では?
瀧川 太陽の光を受ける時間が長くて、高い山もあまりありませんから向いているでしょうね。淡路信金でも一昨年オープンした新店舗には太陽光発電パネルを付けましたし、これからの新店舗にはその予定です。公民館など公の施設には設置を予定していますし、県民局でも太陽光と風力を利用しているようですが、すべてをまかなうのは困難なようです。この程度の規模ではまだまだですね。
―税制優遇で企業進出を促すという計画はないのですか。
瀧川 承知しておりませんが、県や市、そして島民の努力次第ではないでしょうか。これから積極的に進めて行かなくてはならないと思います。
―いずれも長い目で見ていく必要があるということでしょうね。
瀧川 そうですね。次の世代にお願いしなくてはいけないかもしれません(笑)。
―淡路は食の自給率300%。これは強みですね。
瀧川 農業は産地間競争もありなかなか難しい。淡路の玉ねぎは美味しいのですが、今年のような寒波がくると生育が心配です。
淡路の3年とらふぐはかなり認知されるようになってきました。昨年12月には大阪で多くのマスコミの方を招待してPRしました。しかし水産物も自然の影響が大きいという問題があります。
―淡路オリジナルの食も頑張っていますね。
瀧川 例えば、淡路島牛丼。「どれが一番おいしい?」と聞かれますが、それは是非ご自分で食べていただきたいと答えています。牛肉、玉ねぎ、お米、それぞれ淡路の中でも違う場所で採れたものも使っていますから、たくさんあっても全部味が違います。しかし食材は淡路産が一番美味しいですよ、これだけは言えます(笑)。
―淡路信用金庫、淡路島くにうみ協会2つの理事長として淡路の発展のために、今後どうお考えですか。
瀧川 淡路信用金庫は地元の金融機関として地域産業を支えると共に、福祉や経済振興のための財団、基金による支援を行っています。また、淡路島くにうみ協会は花の島淡路をアピールする「淡路花祭」、島の魅力を伝える人づくりのための「淡路島くにうみ講座」、そして地域の歴史を再発見する「淡路島古事記編纂1300年記念事業」等を展開しています。特区になりましたので新しいものを採り入れながら、今後も様々な形で淡路島のために積極的に地域貢献していこうと考えています。
―引き続き、淡路島のためにがんばっていただければと思います。
あわじ環境未来島構想の展開
瀧川 好美(たきかわ よしみ)
淡路信用金庫理事長、財団法人淡路島くにうみ協会理事長、洲本商工会議所顧問、あわじ環境未来島構想推進協議会会長、淡路島古事記編纂1300年記念事業推進会議会長