11月号
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安井武雄の建築思想が息づく私邸跡 公益財団法人山口文化会館 滴翠美術館
六甲山の美しい翠巒(すいらん)を背にした閑静な住宅街の一角に佇む私設美術館。山口銀行を設立するなど関西財界で活躍した、山口財閥の四代目山口吉郎兵衛の私邸の一部を美術館として公開している。
この邸宅を設計した安井武雄は、モダニズム建築を代表する建築として名高い大阪ガスビルディングなどを設計したことで知られている。数多くの商業ビルを手がけてきた安井による私邸の設計は極めて珍しく、鉄筋コンクリート造りの支柱や階段、面格子など、安井建築の建築思想を細部にわたり窺い知ることができる。
山口が財界を離れてから他界するまでの間、山口は京焼や紀州焼などの陶器や人形、かるた、羽子板などを熱心に研究し、収集。それら古美術品コレクションは2500点にも及び、今日も識者の間で高く評価されている。山口は生前からコレクションの一般公開を望んでおり、遺志を継いだ夫人が住宅を改装し、氏の雅号であった「滴翠」を冠して昭和43年(1968)、美術館を開館したのである。
敷地内には、一般向けに陶芸教室「滴翠窯」も併設。充実した設備が整い、ゆったりとした自然環境に囲まれながら、気軽に陶芸を楽しめることもあり、連日、作陶を楽しむ人で賑わう。
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昭和8年(1933)の完成に設けて工事が進む山口吉郎兵衛の邸宅
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多くの客人をもてなした茶室は、ひときわ目をひく
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子供部屋が改装され、第一展示室となっている
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両替商の象徴、分銅を模した床の間
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山口が大阪の住まいから使用していた欄間
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焼き物を包む布、仕覆を縫う
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作陶を楽しむ姿が見られる
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生徒さんたちの作品
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滴翠美術館
芦屋市山芦屋町13-3
TEL.0797-22-2228
■開館 10:00〜16:00(入館は15:30まで)
■休館 月曜日、夏季・冬季は休館
■料金 一般620円 高大生410円
中学生以下無料
※団体15名様以上2割引