11月号
~チョコっとではなく、じっくり楽しみたい~ 幸せを包み込むパッケージに注目した 「フェリシモ チョコレート ミュージアム」
チョコレートの顔であり衣装でもあるパッケージ
新港突堤西地区に移転したフェリシモ新社屋内に「フェリシモ チョコレート ミュージアム」が10月22日にオープン。開館に先駆けて行われた内覧会では、館長も務めるフェリシモ・矢崎和彦社長が「神戸へ行こう!という観光ニーズを生みだすには、住みたい街として知られる神戸の生活文化を体感できるコンテンツがいい。そこで神戸から豊かなチョコレート文化を発信しようとパッケージにフォーカスした。チョコレートのパッケージは職人による最高の衣装だ。多くの方に人を幸せに包み込む展示を楽しんでもらいたい」と挨拶した。開館式に出席した久元喜造神戸市長は「神戸の食文化を代表するチョコレートをアートとして楽しめるこの美術館をはじめ、10月29日に開業する神戸ポートミュージアムや24年に開業予定の神戸アリーナなど、神戸港の新港地区では大規模な再開発が進んでいる。短期間で大きく変わりゆくウオーターフロントから神戸の街も新しく変わっていくことだろう」と再開発事業への抱負を語った。常設展でパッケージを紹介している「パティシエ エス コヤマ」の小山進さんも来賓挨拶で「今や世界のチョコレートブランドが日本のパッケージ文化に触発され、パッケージを日本ナイズしている」と時代におけるパッケージの注目度について熱弁をふるった。
アートや文化から見たチョコの可能性を発信
チョコレートを味覚以外の4つの感覚(視覚、聴覚、触覚、嗅覚)で体感しながら楽しめるという、チョコレートミュージアムながら、チョコレートは展示していないのが実にユニークネス。入口すぐには甘く香ばしい香りを放つカカオ豆の種皮がつまったボックスが鎮座。“嗅覚”でチョコレートを感じる演出なのだ。毎回テーマを設けて開催する常設展コーナーでは第一回目として「パティシエ エス コヤマ」のパッケージを紹介。小山さんの出身地、京都の碁盤目状の路地を繊細な切り絵で表現したボックスなど作品には全て小山さんのデザインに対する熱い想いが添えられている。ほかにも現代美術家ヴァレリオ・ベッルーティさんのアート作品や、「フランク ミュラー」が作るチョコレート菓子などを紹介する企画展コーナーも。あのフランク ミュラーが時計という枠にとらわれず、豊かな時の過ごし方のひとつとして提案するスイーツ&食器の競演は必見。金粉のように細かなビザン数字が踊るようにデザインされたティーセットやオリジナル御猪口に入った「大吟醸ショコラ」は見ているだけで、心が満たされる!
圧巻はガラスケースにズラリ並ぶチョコレートパッケージのコレクションだ。その数は約500ブランド計1万2千点以上というからすごい。神戸が誇る菓子メーカー、モロゾフの歴史的なバレンタインパッケージなども収められている。これらはフェリシモが個人や企業に包み紙や缶、瓶の寄贈を呼び掛けて集めたもので、今後も収集は続け、世界最多のコレクションをめざすそう。社員である人気バイヤー・木野内美里さんも、「世界各地の珍しい極上チョコを発掘し『幸福のチョコレート』として紹介販売して25年。今までお取引きさせてもらった世界のショコラティエにパッケージを送ってほしいとお願いしたら、皆さん快く協力してくださいました。そのデザインに国民性や文化が出ているのが面白いですね」と笑う。
世界にチョコレートミュージアムは数々あるけれど、そのほとんどがチョコレートの味や作り方を紹介するものばかり。作り手の想いと食べた人の思い出が詰まっているパッケージに特化した世界初のこのミュージアムにはチョコレート好きはもちろん、地域住民や観光客、さらにはショコラティエやアート・カルチャーに興味のある人たちも楽しく過ごせる要素が満載。甘~いコンテンツで皆の心を魅了するチョコレートの聖地となりそうだ。
神戸市中央区新港町7番1号
フェリシモ本社2F
【時】11:00~20:00、日曜~18:00 ※入館は閉館30分前まで
【休】月曜
【交】各線「三宮駅」から徒歩約20分。バス停「新港町」下車すぐ
【入場料】一般1,500円、学生1,200円、小学生500円、小学生未満無料
※入場は事前予約制。ウェブサイトにて来館30日前から予約可能
※来年3月21日までの開館記念割引料金は
一般1,000円、学生800円、小学生300円
https://feli.jp/chocolatemuseum/