3月号
レクサスと日本のモノづくり ①
「進化」という伝統を纏う帽子
株式会社マキシン
代表取締役社長
渡邊 百合 さん
帽子ひとすじ78年。 神戸トアロードを代表する老舗で、
オリンピックや国際博覧会、企業の制帽も手がけるマキシン。
今なお手作業を大切にしつつ、時代のウォンツを創造するものづくりで、淑女たちを魅了している。
帽子は顔に一番近いファッションアイテム。それひとつでコーディネートのバランスを操り、身につける人の格すら左右する不思議な力がある。
英・仏語のmaximum=最高から命名されたマキシンは、その名に恥じぬよう最上級の素材を用い、最高の技術を駆使した帽子づくりを続けることを使命としている。西洋から伝わった婦人帽づくりを横浜で学んだ渡邊利武氏が昭和15年(1940)に創業。ヨーロッパの模倣から脱却し日本人に合うモードを追究、さらに流行の半歩先を往く新しいものづくりに邁進してきた姿勢はまさに「守破離」、「進化する」ことがマキシンの伝統なのだ。
フランスで開催された世界的ハットコンテストでグランプリに輝いた経歴を持つモディストの大平千鶴子さんが創造した新しいモデルもまた、その精神の結晶といえるだろう。最上級の麻素材を手作業で蛇腹状に仕立て、ヴェールやリボンをあしらったハットは、折り曲げ方や被る角度でカジュアルにもフォーマルにも適応。自由な発想が生んだ自由な帽子は、アトリエに港町の自由な風が吹くマキシンならではのものなのだ。
「そこまで手間をかけるのかと驚き、車は人間がつくる最高のメカだと再認識しました」と、先日レクサス車の一部を生産するトヨタ元町工場を見学した社長の渡邊百合さんは語る。「マキシンにもレクサスにも、ストーリーがある。ステイタスに相応しいものを手がけるには、それだけの技術と感性が必要なのです」。そして帽子も、車も、実用性が肝心。用の美と格式の融合は、被る人、乗る人の気持ちを快活にする。
マキシン トアロード本店
神戸市中央区北長狭通2-6-13
電話 078-331-6711
営業時間 10:00〜18:00
休業日 水曜日
(祝日、ルミナリエ期間中は営業)