1月号
ロータリーの活動を多くの人に発信したい!
ロータリークラブは、その活動内容についてあまりPRをしていません。
これからはもっと広く知ってもらいたいという瀧川ガバナーが、MBSアナウンサーの高井美紀さんをお招きしました。社会で活躍する女性ならではのご意見も頂きました。
株式会社毎日放送 アナウンサー室 チーフアナウンサー
高井 美紀 さん
国際ロータリー第2680地区 2017-18年度ガバナー
瀧川 好庸 さん
兵庫県下73クラブを預かる瀧川ガバナー
瀧川 高井さんとは、「はじめまして」ですね。
高井 ロータリークラブとはご縁があり司会などでお手伝いさせていただいたことはあるのですが、瀧川さんとは「はじめまして」ですね。瀧川さんは今年度ガバナーを務めておられてお忙しいのではないですか。
瀧川 世界に約540地区、日本には34地区ある中のひとつ2680地区を預かり、兵庫県下73クラブを1年で回らなくてはいけません。人生最大かと思うほど忙しい年になっています(笑)。
高井 兵庫県は北から南まで広いので大変ですね。もうかなり回られたのですか。
瀧川 はい、大分頑張ったのであと10カ所くらいかな、嬉しいことに(笑)。
神戸西ロータリークラブについて
瀧川 私が所属する神戸西ロータリークラブは63年続くクラブです。現在、最も大きな活動は瀬戸内海余島での子どもたちのサマーキャンプです。偉大な先輩方がたくさんおられ、ロータリークラブの若者たちのリーダーシップ養成プログラム「RYLA」という活動を取り入れた神戸の重鎮、YMCA総主事を長年務めておられた故・今井鎮雄さんもその一人です。日本のロータリーは哲学的な面を重視しがちなのですが、実践的な面も持ち合わせた方で、私もいろいろと教えていただきました。
高井 主に子どもたちや若者のための活動に力を入れてこられたのですね。瀧川さんご自身は何年ぐらい神戸西ロータリークラブに?
瀧川 そろそろ30年ぐらいでしょうか。私が入った当時は100人以上の会員がいたのですが、今は半分くらいに減ってしまいました。ロータリー会員も社会の変化と連動して増減してきました。
高井 会員数が増減しながらも100年以上の時代を超えて続いてきたのですから、ずっと変わらない良さがあるのですね。
ロータリーの始まり
高井 ロータリークラブは、いつどういう目的で設立されたのですか。
瀧川 1905年、資本主義初期のころシカゴの街、当時の商売のやり方は自分さえよければいいという状態。さまざまな問題が起き、弁護士のポール・ハリスが「自分たちは自分たちで守ろう」と、仲間と4人で始めたのがロータリークラブです。1業種トップクラス一人だけ入れる幾分閉鎖的な異業種交流会のようなもので、「これでは発展性がない」という声が上がり、社会奉仕活動に目を向け1917年にロータリー財団が設立されました。それ以来100年にわたって多くの人道的支援を行ってきました。現在は財団の大きな目標としてポリオ撲滅を掲げ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と協力して世界中で活動しています。
高井 存在は皆さん知っていても、具体的に何をやっているのかはあまり知られていませんね。ロータリー米山記念奨学会では年間かなりの額の奨学金で多くの若い人たちが学んでいるとお聞きします。他にも青少年キャンプなどとても良いことをされているので広報に力を入れて広く知ってもらうのもひとつの方法だと思います。
瀧川 ロータリー米山記念奨学会のアジアの奨学生はとても優秀です。ロータリー財団の日本人奨学生は約1万7千人。世界中で活躍しています。恐らくあまり知られていないでしょうね。日本のロータリーはPRしないのを誇りとしていましたが、変えていかなくてはいけないと思っています。
高井 PRすることによって若者たちがこの活動を知り、夢を叶えるきっかけになるといいですね。
それぞれの社会奉仕活動の形と目的
瀧川 MBSではどういった社会奉仕活動に力を入れておられますか。
高井 基本的には地元茶屋町に密着した活動が主ですが、私が夕方の報道番組を担当していた当時の編集長が立ち上げた「ジャンプオーバーキャンサー」という活動があります。大阪はがん検診を受ける割合が非常に低くほぼ全国ワーストワン。そこで、検診が有効といわれる5つのがん検診だけでも受けましょうとアピールし、番組のがん特集で正しい情報を伝えたり、専門のお医者さんをお呼びしてセミナーを開いたりしています。報道部門から始まった動きですが、今では全社の有志が協力してくれています。子どもさんのがんにも目を向け、神戸のチャイルド・ケモ・ハウスの募金活動もさせていただいています。
瀧川 私たちもチャイルド・ケモ・ハウスへの募金活動には協力しました。それというのも、ロータリーの目的のひとつに地域にお返しをするという考えがあり、地元に根差した活動には力を入れ、活性化に努めようとしています。今年、県下のロータリークラブを回り、地方のクラブは規模は小さくても地域に根差した手づくりの会という印象を受け、これが本来のあるべき形ではないかと感じています。
女性にも門戸を開いているロータリークラブ
瀧川 ロータリーは30年前から女性にも門戸を開いていますが、未だに世界約123万人の会員の中で女性は20パーセント程度です。
高井 活躍する女性が大勢いるにもかかわらず、残念ですね。女性が入ることでまた違った視点が生まれるのではないでしょうか。
瀧川 そうですね。神戸西ロータリークラブでは今、女性会員が5人。和やかさが出てきました。
高井 ロータリークラブは女性に対しては閉ざされているというイメージがあります。同じ精神を持って活動をしようと思われるなら「一度話を聞いてみませんか?」などと広くアピールすれば女性も近づきやすくなるのではないでしょうか。
瀧川 高井さんもぜひ!
高井 私はサラリーマンですから…。
瀧川 全く問題ありません。大歓迎です(笑)。
伝統を守りながら新しい動きが始まった
高井 女性会員も含め後継者をどう育てるかが課題ですね。
瀧川 そうなんです。若い人にメリットを感じてもらえない。例えば神戸西ロータリークラブの例会は毎週金曜日に昼食を兼ねていますが、負担が大きいようです。そこで新しい試みとして、出勤前や仕事終わりのお茶だけの例会など取り入れているクラブもあります。また高額な入会金や年会費の見直し、インターネットを通じてのEクラブなど新しい動きが始まっています。
高井 伝統を守ることも大切ですが、その中に新しい動きが出てきているというのはいいことですね。今日は私もロータリークラブについて初めてお聞きすることがたくさんありました。とても良い活動をされているのですから、ぜひ会員の皆さんからより一層広く発信していただけたらと思います。
瀧川 今後とも女性目線でのご意見を頂けたら幸いです。今日はお忙しいところ神戸までお越しいただき、ありがとうございました。
高井 こちらこそありがとうございました。
瀧川 好庸(たきかわ よしのぶ)
1942年、兵庫県生まれ。1965年、上智大学外国語学部卒業。聖心女子大学非常勤講師、上智大学文学部教授を経て、2014年、学校法人瀧川学園理事長に就任。2017年より、公益財団法人兵庫県私学振興協会理事長。1991年、神戸西ロータリークラブ入会。1998-99年度に同クラブ幹事、2005-06年度には会長を務めた
高井 美紀(たかい みき)
神戸市出身。神戸女学院大学文学部英文学科卒業。1年目で夕方のニュース番組『MBSなう』を担当。その後『VOICE』のニュースキャスターを20年以上務め、関西の夕方の顔となった。入社以来、報道からバラエティーまで幅広く担当。現在はテレビ番組の「住人十色」「医のココロ」「ザ・リーダー」「皇室アルバム」ラジオ「子守康範 朝からてんコモリ!」「日本一明るい経済電波新聞」を担当