2018年
1月号
木にぶらさがるハタオリ鳥の巣 撮影/中村治正

ウガンダにゴリラを訪ねて Vol.3

カテゴリ:医療関係, 神戸

【アフリカ出発からBwindiまで】①

文・中村 しのぶ
なかむらクリニック(小児科)

 2013年9月14日23時45分、関空発ドーハ乗り継ぎウガンダまで18時間の旅です。朝5時半真っ暗なドーハの空港でタラップを降りバスで15分以上かけてターミナルビルに向かいます。その遠さとバスの数、スピードに驚きます。深夜の名神高速のトラックのように大型バスが列をなして空港内の道路をターミナルビルに向かい対向車線にも同じくらいの数がすれ違います。
 ターミナルビルに着くとそこは眠らない場所、でした。

 世界の料理が並び仮眠用ベッド、シャワー、サウナ、トレーニングルーム、屋内用の遊具やゲーム機を置いたキッズルームもあります。砂漠で貴重な水をふんだんに使うことが富の力を示すことになると聞いておりましたが何本かの柱には水が流れきらきら輝いています。アラブ服も多く、ここはカタール、中近東、映像でのみ知っていた世界。トイレもお掃除の女性が立っているので清掃中かと思いましたが驚くべきことに、一人が終わるごとに毎回掃除してくれているようです。手を乾かすのも赤外線を当てた香水の香り(ちょっと強すぎ)の一人ずつのタオルです。

 空から見たドーハの町は写真で見たドバイと同じく砂漠の中に突然空港があり、その周りに町があり、町の端はそのまま何もない砂漠に続きます。サッカーファンには痛恨の“ドーハの悲劇”の競技場も見えました。悠久の歴史と文化をもつ砂漠のこの半世紀の変貌、石油経済の怪物のような力に圧倒されます。いきなりアラブのお金持ちになった気分でトランジットの3時間はあっという間に過ぎウガンダの首都カンパラへ出発です。

 窓外は夜も明けて砂漠から緑の森とその間に広がる赤い土へと変わっていきます。機内の乗客のほとんどは肌が黒く通路に沿って褐色の顔が並んでいます。どこまでもどこまでも。当たり前とは言えアフリカに来たり!最初のアフリカ実感。

 ウガンダの唯一の国際空港、エンテベは日本の小さな地方空港ぐらいの2階建てビルと、草原に滑走路があります。こんな鄙びた空港ですが1976年ハイジャック事件もありました。United Nationsの小型機が何機か止まっており、荷物を搬入しています。難民キャンプに食料や薬を届けるのでしょうか?ニュースでしか見ることのない国連の活動の1カット、そこに働く人たち、頭の下がる思いとこの同じ時間に今日の命も定かでない虐げられた人々がこの空の続きにしかも同じ国内で助けを待っている事実を肌で感じます。

 薄暗い建物で入国審査、荷物受取、両替、驚くほどスムーズに終わり表に出ると昼下がりの眩しい陽光と真っ青の空、アスファルトの通路に紙に書いた客の名前を胸にたくさんのドライバーがお出迎えです。NAKAMURAのカードを掲げてくれていたMusokeの案内で屋外通路を2分、泥んこの駐車場にMR. JUNKOと書かれたイスズビッグホーンがありました。

 駐車場の際に高さ3mくらいの木があり、まるく枝を張った木に葉はほとんどなくクリスマスツリーのオーナメントのようにたくさんのボールがぶら下がっています。ボールはよく見ると一つずつが草で編まれた篭になっており、一か所小さな穴があり、黄色や黒い鳥が出入りし草を咥えてきて篭を編んでいるのもいます。
 糖尿病薬のシンボルの黄色い「ハタオリ鳥」、覚えておられる方もあると思います。1mの距離に人がいても気に留めず一心不乱に何十羽もがそれぞれの篭を編んでいるのです。その薬のパンフレットを見たときCGかと思ったほど非現実的な美しさでしたが今目の前に絶え間ないさえずりと共にこんなにたくさん―。アフリカの土を踏んでまだ10分でもういくつ心ときめかされたことでしょう!

(次回へ続く)

ドーハ空港の様子 撮影/中村治正

ドーハ空港の様子 撮影/中村治正

ドーハ空港の様子 撮影/中村治正

世界の料理も並ぶ 撮影/中村治正

空から見たドーハの風景 撮影/中村治正

ドーハ空港から、ウガンダの首都カンパラへ 撮影/中村治正

木にぶらさがるハタオリ鳥の巣 撮影/中村治正

中村 しのぶ
なかむらクリニック(小児科)

月刊 神戸っ子は当サイト内またはAmazonでお求めいただけます。

  • 電気で駆けぬける、クーペ・スタイルのSUW|Kobe BMW
  • フランク・ロイド・ライトの建築思想を現代の住まいに|ORGANIC HOUSE
〈2018年1月号〉
神戸の粋な店|神戸 出汁 豚しゃぶ まん乃
かけがえのない生命(いのち)をジュエリーで表現 『ギメルの四季』Vol.5
これが、神戸のグランドデザイン!
ロータリーの活動を多くの人に発信したい!
至高のSUVを駆って光り輝く明日に向かえ!      
県民の健康と安心のために[一般社団法人兵庫県医師会 設立70周年]
連載 神戸秘話 ⑬ 女性たちに「装う喜び」を 神戸洋裁教育の母 福冨芳美
メルセデス・ベンツで旅するドイツ in KOBE Vol.6
輝き放つ「美・KOBE」|10年後の神戸を語る
神戸に貢献するホテルとして|10年後の神戸を語る
ITネィティブが活躍する時代に|10年後の神戸を語る
人に神戸に感謝とRESPECT|10年後の神戸を語る
この美しい街とともに、人生の時を刻む|10年後の神戸を語る
世界的なプレミアム温泉地をめざして!|10年後の神戸を語る
創造都市としての構造転換を|10年後の神戸を語る
未来への光彩|10年後の神戸を語る
1000の未来|10年後の神戸を語る
連載 輝く女性 ⑪ ワインが似合うおしゃれな街・神戸をワインを通して盛り上げてい…
日本におけるゴルフは、六甲山の頂からはじまった
ウガンダにゴリラを訪ねて Vol.3
神戸のカクシボタン 第四十九回 お好み焼店で占いの巻!? 「てんてん」
多彩な暮らしが、すぐそばに:神戸“山の手”の暮らしを語る ②
有馬歳時記|「SPA TERRACE 紫翠」オープン
A Happy New Year 2018|ベール・ド・フージェール
 連載コラム 「続・第二のプレイボール」 |Vol.1
英国と神戸 Vol.7 アルピニズムの発祥となった神戸
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第八十回
Power of music(音楽の力) 第25回
㊎柴田音吉洋服店 起業150周年
音楽のあるまち♬4 神戸の街には世界の音楽が混在する そのひとつがハワイアン
神戸鉄人伝 第97回 あさご芸術の森美術館 館長 伊藤 照哉(いとう てるや)さ…
兵庫ゆかりの伝説浮世絵 第四十七回
連載エッセイ/喫茶店の書斎から ⑳  港野喜代子さん Ⅰ
耳よりKOBE|淡路島3年とらふぐと水仙まつりキャンペーン