6月号
神戸港をクルーズ客船のホームポート、貨物のゲートポートに!
神戸市みなと総局みなと振興部 部長
片山 昌俊さん
今年も神戸港は〝クルーズ客船入港ラッシュ〟
神戸市ではクルーズ客船の誘致に力を入れています。みなと総局でも平成17年から客船誘致専任ポストを設置し、海外・国内のクルーズ客船誘致に積極的に取り組んできました。結果的に5年連続100隻を超えるクルーズ客船が入港しています。
今年も多くのクルーズ客船が神戸港に入港します。32隻の外国客船の入港が見込まれ、これは統計を取り始めてから最多となる見通しです。市民をはじめ皆さんの関心も高く、3月19日に入港した「クイーン・エリザベス」の船内見学を一般募集したところ、70人の定員に5千人以上もの応募をいただきました。入港時はもちろん深夜の出港時も見学者でポートターミナルがいっぱいになるほど。私たちも驚いています。やはり、クルーズ客船というのは惹きつけるものがあるのですね。
4月13日には、日本で造られた最大のクルーズ客船といわれる約11万5千トンの「ダイヤモンド・プリンセス」、5月13日には約13万7千トンの「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」などの入港が続き、神戸港はクルーズ客船の入港ラッシュといえる状況です。さらに今年10回の入港を予定している「サン・プリンセス」は「ターン・アラウンド」といって、神戸でお客さんを降ろして、新たなお客さんを乗せて出港します。神戸港がクルーズ客船の発着地になるわけですから、観光やショッピングなどの経済効果が期待できます。
そこで重要なのが、おもてなしです。商店街や観光関係者の皆さんと連携を取りながら進めています。神戸市としても入港時にはお客さんや乗組員のための無料シャトルバスをポートターミナルから出して、元町まで送迎しています。また、ポートターミナルは耐震工事をはじめ、順次改修を予定しています。来春にはさらに使いやすいターミナルとして生まれ変わります。
10月から〝神戸=宮崎航路〟がはじまります
中突堤には「飛鳥Ⅱ」「にっぽん丸」「ぱしふぃっく びいなす」という日本3社のクルーズ客船が入港します。第3突堤は現在、ジャンボフェリーが神戸=高松航路を1日4便運航し、そのうち3便は小豆島に寄港します。そして10月1日から、宮崎カーフェリーの神戸=宮崎航路でも使っていただくことになりました。九州へは昭和41年から、神戸・日向(細島)航路が東神戸(青木)フェリーターミナルを使って就航していました。平成7年の阪神・淡路大震災の影響で平成10年に休止となり、今回は16年ぶりの本格的神戸復帰になります。宮崎は日南や高千穂など日本有数の観光地があり、またマンゴーや地鶏など美味しいものもたくさんあります。宮崎からも神戸観光に来ていただこうと現地へ出向きプロモーションも始めています。人の流れと物流の両面での相互利用に期待しているところです。
宮崎カーフェリーの就航に向けて新ターミナルの整備を進めています。10月には辺りの風景がかなり変わると思います。三宮からも徒歩約20分とアクセスも良い第3突堤を2つの航路合わせてぜひご利用いただけたらと思っています。
神戸にとって港は〝市民生活と経済の基盤〟
神戸港120年の昭和62年には、メリケンパークや海洋博物館がオープンしました。当時の神戸港には西日本の貨物が一旦集まり、外航船で北米、欧州等へ出ていっていました。コンテナ貨物の取扱量も非常に多く〝華やかな時代〟だったと言えますね。
神戸にとって「市民生活や経済の基盤」という「港」の位置づけに変わりはありません。クルーズ客船の誘致はもちろんですが、コンテナ貨物の誘致にも最大限力を入れ取扱量の目標を定めて増やしていくことも非常に大事だと考えています。
穏やかな瀬戸内海は貨物船、クルーズ客船ともにほぼ定刻運航ができるというメリットがあり、神戸港は非常に利用しやすい港だと評価いただいています。島々が点在する瀬戸内の景色を楽しむことを目的にした外国客船も増えてきました。メリットを生かし、宇野・高松・広島・門司の各港と協力して「クルーズせとうち」の共同パンフレット作成や誘致活動にも取り組んでいます。港に船、その向こうに市街地、遠景には六甲山。これが神戸に最もふさわしい光景です。おもてなしの方法にはまだまだ工夫の余地があると思いますので、一歩一歩着実に受け入れ体制を整えていきたいと思っています。
開港150年を目前にして、西日本の産業や貨物のゲートポートとして、日本を代表するクルーズポートとして、神戸港に物と人の流れを作る様々な取り組みに力を入れていきます。
片山 昌俊さん
神戸市みなと総局みなと振興部 部長