2018年
7月号

兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第八十五回

カテゴリ:医療関係

姫路健康フェスティバル2018
「食」をテーマに開催

兵庫県医師会広報委員会副委員長
くるす眼科クリニック院長
来栖 昭博 先生

─姫路健康フェスティバルは今年で3回目でしたが、そもそもどのような趣旨のイベントなのでしょうか。

来栖 姫路市医師会が主催し、2014年にスタートしましたが、当初から市民のための医師会としてもっと市民のみなさまに親しまれるような存在にと、楽しみの場を提供しつつ医師会の活動のPRをおこなうことと、市民のみなさまに病気や健康について興味を持ってもらい、病気の予防や健康増進に役立てようということを目指して開催しています。

─今年はどのような内容になりましたか。

来栖 今年は4月22日の日曜日に、前回と同じく姫路城の向かいにあるイーグレひめじと大手前公園で開催しました。今回は大きなテーマを決めて、それに関連する内容を中心にさまざまなプログラムやアトラクションを企画しました。

─どのようなテーマだったのでしょう。

来栖 「美味しく楽しく、健康に!」と題して、健康の基本である「食べる」をテーマに据えました。美味しく楽しく健康に過ごすためのアイデアや情報を伝えるべく、姫路市歯科医師会、兵庫県看護師協会、姫路薬剤師会、姫路市病院栄養士研究会、兵庫県言語聴覚士会、姫路市・西播磨介護サービス事業社連絡協議会など多職種のみなさまの協力で体験できるブースなどを出展していただきました。また、医師会会員の耳鼻咽喉科と脳神経外科の先生が嚥下に関するブースを、内科の先生がピロリ菌に関するブースを出し、熱心に取り組んでいただきました。多職種連携と医師会会員の積極的な参加で、「食べる」に関する体験ゾーンは充実した内容になったと思います。

─ホールでおこなわれた市民フォーラムは、どのようなテーマでしたか。

来栖 東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢先生を招いて、“なぜ老いる?ならば上手に老いるには─「フレイル」って一体何だろう─”をテーマに講演していただきました。「フレイル」とは、老いにともない心身の活力が低下しているが適切な支援があれば生活の質の向上が見込める状態のことです。フレイルは運動すれば予防できるというイメージですが、実は文化活動やボランティアをおこなうことでも防止に繋がるというお話は、データ的な根拠もあり興味深かったですね。会場のみなさまに役立つ内容だっただけでなく、いま姫路市医師会が抱えている在宅関係での課題が飯島先生の取り組みで解決できそうなので、今後また勉強会をしようという動きになったのは講演の思わぬ副産物でした。

─前回好評だった寸劇もおこなわれましたか。

来栖 今回も「劇団ひとつ」が熱演を見せてくれました。「口から食べよう!いつまでも」という演題で、もちろん脚本も道具も自前、出演者もスタッフもすべて自分たちでおこない、今回は言語聴覚士、理学療法士、作業療法士も加わりました。ベッドで生活する父が誤嚥性肺炎を起こし入院、退院後家族が介護を見直すというストーリーで、口腔衛生の重要性、姿勢の大切さや食器の工夫などのアナウンスなども盛り込まれていました。

─測定や検査体験などもおこなわれましたか。

来栖 前回好評だったので、今回も食をテーマとした体験とは別にコーナーを設け、ヘモグロビン測定や心電図体験、骨密度測定や超音波測定、高齢者や妊婦の疑似体験などをおこない、子どもたちもいろいろと体験してくれました。ほかにも前回同様、子どもたちによるお茶席や写真撮影コーナー、絵の展示、工作コーナーと盛りだくさんでした。また、福祉用具体験ゾーン、訪問介護ステーションによる介護よろず相談コーナー、姫路市地域包括支援課による介護予防相談コーナーも設けるなど、介護に関するお悩みを持つ方をサポートする窓口も開設、がん検診の啓発や医師会委員会の活動紹介などもおこないました。

─屋外でも盛り上がっていたようですが。

来栖 テーマが「食」ですので、飲食ブースも充実させました。今回はマルシェで人気の飲食店に一軒一軒お願いに行き出店してもらい、お洒落なお店が勢揃いして大変好評でしたね。子どもたちに人気だったのは車両展示で、今回はドクターカーが4台、救急車が1台、自衛隊の救急車も来て壮観で、子どもたちも大喜びで記念写真を撮っていました。特に姫路医療センターのドクターカーは患者搬送用ではなく、自家発電や衛星通信用アンテナなどを搭載し、災害医療の現場で司令塔となる、日本に1台しかない要塞のような車両で、個人的にも興味深かったですね。

─姫路健康フェスティバルは隔年で開催されてきましたが、今後はどのような計画ですか。

来栖 医師会職員約200名と看護学生約80名のボランティアのおかげもあり、今回も大きな問題もなく無事終えることができました。今後については今のところ未定ですが、多くの方々にご来場いただきましたし、形を変えるなりして継続していきたいと思います。

ホールでは、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授を招いて、“老い”をテーマに市民フォーラムがおこなわれた

姫路市医師会の手づくりの寸劇。「口から食べよう!いつまでも」の演題で、口腔衛生の重要性などが盛り込まれた

体験コーナーでは、測定や検査体験、高齢者や妊婦の疑似体験などを実施

「食」をテーマに、飲食ブースも充実。人気のお店が勢揃いして大好評だった

姫路医療センターのドクターカーは、災害医療の現場で司令塔となる、日本に1台しかない車両

子どもたちに人気だった車両展示。ドクターカー4台・救急車1台・自衛隊の救急車が並ぶ様子は壮観

兵庫県医師会広報委員会副委員長
くるす眼科クリニック院長
来栖 昭博 先生

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