7月号

ひょうご神戸まちかど学だより|「六甲山地と弘法大師伝説」 神戸真言宗連合会「いろはまつり」記念講演
6月15日、神戸国際会館こくさいホールにて、神戸真言宗連合会主催の弘法大師御誕生祭「いろはまつり」が開催され、その第三部で県立兵庫津ミュージアム名誉館長の田辺眞人先生が「六甲山地と弘法大師伝説」の記念講演をおこなった。
お話は、六甲山系にある2つの真言宗の寺院の縁起の紹介からスタート。摩耶山天上寺は大化2年(646)に孝徳天皇の勅願で法道仙人が開いたが、弘法大師が唐で授かった摩耶夫人(釈迦の母)の像をここに安置して摩耶山天上寺を創建した。この摩耶夫人像は6世紀の皇帝、梁の武帝がつくった2体のうちの1体と伝わっている。一方、再度山大龍寺は和気清麻呂が老僧の夢を見て、その老僧に似た行基作の如意輪観音像を得て霊場とした。「この御本尊の観音様は神戸最古の仏像です」と田辺先生。その後弘法大師が唐へ渡る前にこの山に登り、航海安全と学問成就を祈った。そして帰国後、お礼参りに「再度」訪ね、大師は船を守った大きな龍にちなんて大龍寺という寺を創建したという。
これらの縁起はもともと口承されてきた民間の説話だった。このようないわれやいいつたえ、しきたりやならわしを研究対象として民俗学を創始したのが兵庫県出身の柳田國男であることや、民俗学が敗戦後の日本人にアイデンティティを与える一助になったことなどを解説しつつ、民間伝承について深掘りし、「伝承の時・所・人が確定すると伝説となり、それが固定化・土着化すると歴史化するんです」と寺院の縁起の本質を説いた。
そして奈良の古刹、法隆寺、元興寺、東大寺、興福寺、薬師寺などには山号がないことを指摘し、奈良時代の寺院は街にあって山と関係がなく、平地でないとできない伽藍配置だと解説。仏教伝来直後に律令国家ができ、仏教はその精神的な支柱となって政治を支えたが、やがて癒着、「すると改革の思想を持つ人たちが現れます。政治改革は桓武天皇の平安遷都がその最たる例です。一方の仏教の改革で神聖な雰囲気で精神修行をすべく、街を離れる僧が出てきたのです」と田辺先生。
その修行僧はどこへ向かったのだろうか?その頃は道路整備が不十分なため人々は河原を行き来したが、その先に山があり、滝があった。そしてここにいた日本古来の山岳信仰の行者たちとの交流が生まれ、やがて両者が結びついて修験道などが成立した。「摩耶山も再度山も二段構えで、まず霊場として存在し、これを弘法大師が寺院にしていったのです。しかも六甲は山陽道の近くに修行の場として好適な急峻な山があったんですね」と田辺先生は六甲と弘法大師が出会った背景を解きほぐし、最後に六甲山系の山川を1つずつ紹介して講演を終え、会場に大きな拍手の音が響き渡った。

弘法大師と六甲の縁についてわかりやすく話す田辺先生

いろはまつりでは講演のほかにも法要や詠歌、演劇など盛りだくさんのプログラムが続いた。

この日は弘法大師のお誕生日。約1300席の1Fフロアがほぼ埋まる盛況ぶりだった

ラジオ関西「田辺眞人のラジオレクチャー」のラジオ法話「心の深呼吸」でおなじみの須磨寺寺務長、小池陽人さんと
兵庫五国の風土と文化講演会
日 時:7月20日(月・祝)1部10:00~12:00/2部14:00~16:00
会 場:神戸新聞松方ホール 講師:田辺 眞人
神戸駅・ハーバーランド駅下車徒歩約7分
テーマ:1部 兵庫県の誕生と発展
2部 県下各地の風土と文化
参加費:各部500円(参加申込不要)
※加東市観光協会阿江孝仁事務局長による
加東市・北播磨の観光・歴史文化の案内あり
※加東市&北播磨の観光と物産フェアも同時開催
問合せ:加東市観光協会
TEL.0795-48-0995(9:00~17:00・水休)
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