7月号
徒然なるままに Vol.6
講演
「寄り添いを考える~死生学の視点から」
宝塚市にある「はんしん自立の家」で5月23日(土)に関西学院大学の藤井美和教授による講演「寄り添いを考える~死生学の視点から」が行われました。藤井先生は新聞社に勤務中、神経の難病を発症し全身まひとなって半年間入院。そして2年半のリハビリの経験から「生と死」に向き合うようになり、アメリカに留学してワシントン大学で博士号を取得。「死生学」の研究を続け、国際学会で優れた教育者に送られる「学術教育者賞」を日本人で初めて受賞。当日は死生学の視点から自身の体験を踏まえて生と死、人の苦しみと寄り添い、スピリチュアリティとスピリチュアルペイン、そして「寄り添いとは何か」についてわかりやすく具体的に話されました。
死生学、というのは「死を含めて生きることを考える学問」であり、生と死は別のものではなく、一体としてつながったものと考えます。人の苦しみや痛みには「身体的痛み~医療によって治療する」「心理的痛み~大切な人を亡くした悲しみや精神的な痛み」「社会的痛み~社会的な役割が果たせなくなる痛み」「スピリチュアルペイン~霊的な痛み、存在価値を問われる痛みで見えにくい」があり、スピリチュアルペインは人が困難な状況と向き合った時に「自分は何のために生きているのか」「生きている意味は何なのか」など、顕在化してくる。この問いかけには他人が答えをくれるものではなく、自分自身が答えを見出すものであり、自分の存在、生きること、いのちに意味を与えるもの。それは人間を超えるものとの関係性の中で自分の存在意味や意義を見出すものでもあるのです。
「寄り添い」とは「何かをする」ことではなく、他者をありのままに無条件に受け入れることであり、それがどこまでできるのか、その自分自身の限界を認め、人間の存在をどのようにとらえるか、が寄り添う側に問われるものなのです。人は何もなくても愛される存在であること、すべてを丸ごと受け入れ、ケアされる人とケアする人の垣根を外し、関係性を超えたところに寄り添いがあるのです。
参考図書 藤井理恵 藤井美和
「たましいのケア:病む人のかたわらに」 いのちのことば社

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