8月号
神戸ビーフのQ&A ーよくある質問ー
神戸の人なら、神戸ビーフを知らない人はいないでしょう。
しかし、神戸ビーフがどんなものかということは、あまり知られていないようです。
そこで、神戸ビーフにまつわる素朴な疑問について、神戸っ子編集部が総力を挙げて調査。
教科ごとにまとめてみました。
基本 Q 神戸ビーフと但馬牛って何が違うの?
簡単に説明すると、神戸ビーフとは但馬牛のうち上位のもの。
但馬牛の条件は、先祖代々兵庫県産の黒毛和牛の血統であること、兵庫県で生まれて肉牛として出荷されるまで神戸肉流通推進協議会の登録会員生産者により兵庫県内で育成されたこと、兵庫県内の食肉センターに出荷された生後28カ月以上60カ月以下の未経産牛(お産を経験していない雌牛)または去勢牛(睾丸を取り除いた雄牛)であること、歩留まり等級が『A』『B』であることです。
それだけでも厳しい条件ですが、神戸ビーフはもう一段階高いハードルが。但馬牛の条件に加え、脂肪交雑がBMS値№6以上、枝肉重量が雌牛で230~470㎏、去勢牛で260~470㎏という条件が加わります。これらの基準をクリアしてはじめて「神戸肉」「神戸ビーフ」「神戸牛」とよぶことが許されるのです。
ちなみに「枝肉」とは皮、毛、内臓、頭、四肢の先端、尾などを除きて取引用に仕上げた骨付きの肉のこと、「歩留まり」とは枝肉の重量に対する正肉の割合のことです。「脂肪交雑」とは霜降りの度合い。「BMS]とは脂肪交雑の度合いを示す数値で、№1(最小)~№12(最大)の段階があります。
国語 Q 神戸牛の読み方は「こうべうし」と「こうべぎゅう」、どちらが正しいの?
「牛」は通常、と畜(と殺)される前(生きているもの)は「うし」、と畜された後(肉になったもの)は「ぎゅう」とよびます。[基本]で説明したとおり、肉質などを検査し合格してはじめて「神戸牛」に認定されます。もちろん肉質の検査は枝肉の状態でおこなわれるので、と畜後にしかできません。よって、生きている「こうべうし」というものは存在しないので、「こうべぎゅう」が正解です。
算数 Q 但馬牛のうち神戸ビーフになれる割合は?
年によって増減はありますが、だいたい年間5500頭前後が但馬牛として認定され、そのうち3000頭前後が神戸ビーフに認定されます。つまり但馬牛の約半分強が神戸ビーフとして認定されるということになります。
なお、兵庫県では但馬牛の頭数増加と肉質向上に力を入れていますので、神戸ビーフの頭数は今後増えていくものと思われます。
理科 Q 神戸ビーフのおいしさの秘密を握る物質とは?
脂肪は脂肪酸とグリセロールが結合したものですが、脂肪酸の組成が美味しさの鍵のひとつです。お肉に含まれるの脂肪酸はふつう高い温度で溶けるものが多いのですが、神戸ビーフには融点13度のオレイン酸が多く含まれているのです。神戸ビーフのとろけるような味わいを演出するのは、程良く含まれるオレイン酸などのモノ不飽和脂肪酸です。
また、旨味成分であるイノシン酸も、他県産と比べ神戸ビーフには多く含まれているのもおいしさのポイントです。
最新の研究では食味に関係するアンセリン(赤身に含まれるアミノ酸)濃度と不飽和脂肪酸の濃度がほぼ同じでも、他県産と比べ但馬牛の方が食味試験でおいしいと評価されたという結果が出ています。つまり、おいしさの秘密はいまなお完全には解明されていないものの、但馬牛や神戸ビーフがおいしいということは科学的にも証明されつつあるのです。
社会 Q 但馬牛が豊臣秀吉に褒められたって本当?
大阪城の建設のとき、使役牛として全国から屈強な牛が集められました。但馬牛は、体は小さくて見劣りするものの、ほかの牛がバテているなか孤軍奮闘、忍耐強く働いたといわれています。また、従順でおとなしい性格で、扱いやすさという面でもほかの牛より優れていたとか。力強くよく働き、しかも扱いやすい但馬の牛を、豊臣秀吉は「日本一の牛」と賞賛したそうです。
英語 Q アメリカのプロバスケットボール選手、コービー・ブライアント選手の名前の由来は神戸ビーフって本当?
「コービー・ブライアント」の英語表記は「Kobe Bryant」。つまり、ファーストネームの「コービー」は「Kobe」=神戸なのです。彼と同じくプロバスケット選手だった父のジョー・ブライアント氏の大好物、神戸ビーフにちなんで「Kobe」と名付けられたとか。
ちなみにコービー・ブライアント選手は神戸大使にも任命されています。