1月号
harmony(はーもにぃ) Vol.23 存在のない子供たち
心に残る、しかし気持ちの重くなる映画を観ました。映画のタイトルは「存在のない子供たち」です。
映画の冒頭、12歳ぐらいと思われる主人公の少年ゼインが裁判所で自分の両親を訴える場面から始まります。裁判長から「何の罪で両親を訴えるのか?」と訊かれた少年は「僕を産んだ罪です」と答えます。子どもが自分を産んだ親を、「産んだ罪」で訴えるというのは聞いたことがありません。なぜ、少年ゼインは親を訴えたのか?
映画のストーリーは、レバノンのスラムで生活をしているゼインとその家族たちの非常に過酷な暮らしを淡々と描き出します。11歳の妹はお金のために強制結婚させられ、挙句の果てに亡くなります。妹思いだったゼインは親から妹の死を聞かされて止むにやまれず、包丁を握って家を飛び出し、相手の男を刺してしまうのです。ゼインには出生証明書もなく、身分を確認する書類は一切ないため、書類上は「この社会に存在しない」のです。学校へも行けず、路上で物を売り、その日を生きていくのがやっとな暮らしを続けています。ナディーン・ラバキー監督はゼインをはじめ、出演者の殆どを、演じる役柄に似た境遇にある素人を集め、彼らが体験したことをそのまま演出してもらったそうです。法廷で裁判官がゼインに「親に何か言うことはあるか?」と尋ねると少年は「子どもを育てられないのなら、子どもを産むな。もう子供は作らないでほしい」と訴えます。母親はこのときまた妊娠していたのです。親に愛されず、自分の年齢も分からず、学校にも行けず、生きる希望もなく、苦難の日々しかない子どもたちにとっては、生まれてきたことの悲しみや苦悩しかないのです。
この映画を観て、日本でも親の虐待によって短い命を終えた多くの子どもたちのことを思い浮かべました。生まれてきたことをどう思っていたのだろうか、短かった人生で一度でも楽しいことはあったのだろうか、と。
愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、
里親・養親を求める運動です。
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