2018年
7月号
7月号
連載コラム 「続・第二のプレイボール」|Vol.3
「ファンの気持ちを大切にしていきたい」田中 慎太朗さん
文・写真/岡力<コラムニスト>
セ・パ交流戦で沸く阪神甲子園球場。スタンドで応援グッズを手にしながら試合を見守る元プロ野球選手がいる。かつて阪神タイガースに在籍した田中慎太朗さんは、広島市出身。
生粋のカープ男子と思いきや巨人の高橋由伸選手に憧れた幼少期。小学3年時に友人の誘いで「広島鯉城リトルシニア」へ入団する。古豪・崇徳高校では1年からレギュラーになるも広陵高校黄金時代、チームとしては結果を残す事ができなかった。立正大学へ進学後は、頭角を現し3年生のリーグ戦で後に巨人へ入団した長野久義選手と首位打者を争いベストナインに選ばれた。迎えた2007年ドラフト会議の日、さほど期待せずチームメイトと部室で談笑していたところ阪神タイガースから初の育成選手として指名を受けた。念願のプロ野球生活。背番号120を背中に野球漬けの日々が続いた。4年目には、ウエスタン・リーグで50試合に出場し打率・356と結果を残した。しかしチーム事情により突然の戦力外通告を受け現役を引退した。その後、知人の紹介で大手不動産会社へ入社。懸命に働き営業マンとして華々しい実績を残した。現在、家業を継ぎリネンサプライの会社経営者として奮闘する毎日。今年からは、古巣である阪神タイガースのグッズ製造と販売を始めた。「初めて『チャンスわっしょい』(応援)を観た時、鳥肌が立ちました。そこで言葉を型抜きしたタオルを開発しました」。他にも異なる柄のタオルを縫製し裏と表で活用できる「どこでもリンクマフラータオル」など唯一無二の商品を企画。野球で培った何事にもめげずにやり抜く精神は、グッズとなり観衆の中で活きつづけている。