2018年
1月号
左・河田さん 右・今崎さん

音楽のあるまち♬4 神戸の街には世界の音楽が混在する そのひとつがハワイアン

カテゴリ:文化・芸術・音楽, 神戸

神戸の街には世界の音楽が混在する
そのひとつがハワイアン

NPO・カルコム・KOBE 理事長  今崎 陽𠮷 さん
Live Space APPLAUSE オーナー 河田 信秀 さん

今、フラブームと相まってハワイアンが再び注目されている。
神戸の街でハワイアンの礎を作り全国に発信してきたお二人に今までのこと、現状や今後の夢などお聞きした。

―ハワイアンとは。

今崎 戦後、アメリカのポピュラーミュージックのひとつとして日本に入ってきました。当時は非常に新鮮で昭和45年ごろまでは、ほとんどの大学でハワイアンバンドが結成され、グループでスチールギターやウクレレなどハワイの楽器の演奏とボーカルを楽しみ、社会人になっても続けている人も多かったのですが、次第にその他たくさんのジャンルの音楽に押されて下火になってしまいました。

―今はハワイアンといえばフラですね。

河田 そうですね。近年は親しみやすさと健康志向もありハワイ語で「踊る」を意味する「フラ」の人気が高まっています。民族音楽や舞踊は伝統的なものに新しいものが加わり二分されるものですが、フラも古典は「カヒコ」、現代ものは「アウアナ」と呼ばれ一緒になって全国的に流行り、幅広い年齢層が楽しんでいますね。そのブームにものって再び演奏と歌「メレ」も注目されるようになりました。フラは歌詞の意味を手で表現する手話ですから、メレがなければ踊れません。ハワイでは生演奏で踊るのが普通なのですが、日本ではCDを使って踊るのがほとんど。そういう事情もあり日本では新しいハワイアンバンドが育ってきませんね。

―神戸とハワイアンの関りは。

今崎 昭和40年後半、だんだんハワイアンを演奏する場がなくなってきて、兵庫大仏でお馴染みの能福寺住職が甲南大学ハワイアンバンドOBで、「寂しいなあ。集まって講堂で演奏しよう」と声をかけ月に1、2回、ハワイアンパーティーを開くことになりました。平成3年に兵庫大仏を再建した時も、大仏さんの前でハワイアンを演奏したんですよ。阪神・淡路大震災まで続いたこのパーティー抜きでは、神戸のハワイアンは語れません。

―ラジオ関西とハワイアンの関りは。

今崎 ハワイアンブームのころ、音楽を聴くのはAMラジオが主流で、私も番組でよく流していました。少し下火になったころ、大学でハワイアンバンドをやっておられた会社の社長さんのお陰でスポンサーを得ることができハワイアン音楽専門の番組を作りましたが、これが全国的にも珍しかったようで他府県からのリクエストも頂いたりしていました。こんな放送局があったことも神戸がハワイアン発信の地になった理由のひとつかなと思っています。ライブハウスもたくさんあったのですが、だんだん減ってきて、そんな中、頑張ってくれているのがライブスペース「APPLAUSE」です。
河田 ハワイアン演奏を中心にジャズやカントリーもやっているライブハウスです。もう32年…長いことやっているなあ(笑)。

―神戸ハワイアン倶楽部が始まった経緯は。

今崎 母体になっているのが、昭和56年に「神戸ポートアイランド博覧会」開催に当たって演奏を依頼され結成したバンド「ポートアイランダース」で、私と河田さんをはじめ、不動のメンバーで現在に至っています。
河田 平成3年、10周年を記念して「神戸ハワイアン倶楽部」を立ち上げました。現在は8つのバンドと17の「フラ ハラウ(教室)」が所属しています。バンドはメンバーがだんだん高齢化し、数も少なくなってきたのはちょっと残念なところですが、今年で27年目、全国的に見ても長く続いているクラブだと思います。

―現在神戸ではどういったハワイアンの活動を?

今崎 毎年5月に六甲アイランドの神戸ファッションプラザで「KOBE ALOHA BREEZE」を開催、今年で10周年です。
河田 9月にハーバーランドのスぺースシアターで開催する「HULAO FESTA in KOBE」は8年目。
ここでは2つのバンドで100曲以上を生演奏します。これはどこにもない!胸を張って自慢できます。そして11月は「KUPUNA HULA FESTA」。「クプナ」とは「お年寄り」という意味ですがハワイでは尊敬される「熟練者」というニュアンスがあります。そのほか、音楽だけの「SOUND OF ALOHA」を年1回、神戸ハワイアン倶楽部例会コンサートを1年に3~4回開いています。

―最後に今後のハワイアン、神戸の街と音楽についての夢をお聞かせください。

河田 ハワイアンの旋律はメジャーがほとんど。マイナーが極端に少ない明るい音楽なんです。鼻歌でも歌うように日常の中に溶け込んでくれたら嬉しいですね。
今崎 今は、ハワイアンをはじめひとつの音楽だけが街を象徴する音楽文化にはなり得ない時代です。幸い神戸という街にはいろいろな国の音楽が混在しています。世界中のあらゆる音楽がある街・神戸をこれからも目指してほしいと思っています。

左・河田さん 右・今崎さん

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