1月号
これが、神戸のグランドデザイン!
久元 喜造 神戸市長
昨年10月の選挙を経て2期目に就任した久元喜造市長。
新しい年を迎え、改めて今後への抱負や神戸のまちの未来像などお聞きした。
震災後止まっていたいろいろなことが動き始めている神戸
―市長1期目を振り返っての感想と2期目に向けての抱負をお願いします。
選挙前にも「1期目は何点ぐらい?」と質問されお答えしたのですが、65点ぐらいだと思っています。私が市長になってから神戸の経済が大きく上向いたわけでも、まちが大きく変わったわけでも、市役所のサービスが飛躍的に向上したわけでもありません。しかし、何かが少しずつ動き始めているのは確かです。例えば、大阪湾岸道路西伸部整備事業の進展、神戸空港コンセッションについて関西エアポート神戸株式会社との契約締結、新長田駅南再開発地区活性化のための県市合同庁舎の建設、三宮再整備など、震災があったために取り組めなかった重要な課題が動き始めているのも事実です。従って2期目は、この変化をさらに進化させ神戸をさらなる高みに上らせることを選挙ではお約束し、発表した230余りの公約を実行していくことが責務だと考えています。
―三宮の再整備は本格的に始まりましたね。
震災で取り掛かることができなくなっていた大きな課題のひとつでしたが、いよいよ動き始めました。しかし、大阪・梅田地区とは違い、大きな未利用土地があるわけではなく、一つひとつの施設を動かすという丁寧な作業が必要です。同時にスピーディーでなくてはいけません。2期目スタート時には具体的にどう動かしていくのかを発表しました。
市役所を整備し、人の流れを誘う
―神戸の玄関口・三宮についての具体的な計画をお聞かせください。
大きな柱は阪急とJRのターミナルビルリニューアルです。併せて6つの駅をひとつととらえ、人と公共交通を優先とする「えき≈まち空間」の基本計画を今年度中に策定し、具体化させていきます。行政施設の移転方針については、現在の市役所3号館を解体し、「新中央区総合庁舎」として、中央区役所と勤労会館機能を一体的に整備します。また、中央区役所跡地には、現在分散している中・長距離バスの乗降場を集約し、新たなバスターミナルを備えたビルを建設します。さらに、老朽化している上、震災で大きな被害を受けた2号館を建て替え、700~900席の中ホールを配置します。
―文化施設も集約されてくるのですね。
三宮に降り立った人たちの流れを見ていると、フラワーロードの神戸国際会館辺りで人通りが減ってしまいます。その原因になっているのが市役所、中でもかなり老朽化した2・3号館ではないでしょうか。そこで2号館を単に建て替えるだけでなく、中ホールなどを置くことでウォーターフロントへの回遊性を高め、賑わいを得られるのではないかと期待しているところです。
南北を線で結びひとつの面として活性化
―南側のウォーターフロントについては。
都心に近いウォーターフロントをいかに賑わいのあるエリアへ進化させるかが課題です。既に神戸ポートオアシスの整備が完了しました。新港第一突堤基部については再開発事業が動き始め、民間事業者から事業提案を募集し優先交渉権を決定しました。アクアリウムをはじめとする文化施設、業務・商業施設などにより、新たな賑わいを作っていく計画です。
―北側の新神戸駅周辺については。
加納町3丁目の交差点の横断歩道橋を撤去して、歩行者が横断しやすくするという案が検討されています。新神戸と三宮、北野と東門周辺の繁華街をいかに連続させるかというのが南北の人の流れの中で大きなポイントのひとつです。
また、阪急電鉄との相互乗り入れについては、私の1期目就任時にはこの計画は実施しないということでしたが、地下鉄西神山手線沿線の人口減少がみられるなか、今の居住者の利便性を高めるとともに沿線活性化を図っていく上で魅力的な施策です。その可能性について、技術的、採算性の観点から既に検討に入り、今後加速化させていく予定です。
―全体のイメージとしては。
新神戸駅周辺、北野、三宮周辺からフラワーロードを南へウォーターフロント、西へ旧居留地、元町商店街、ハーバーランド、いくつもの魅力あるエリアが現状では点と点として散らばっています。これらを線で結び、さらに面でつなげていき、回遊性を高め来街者を増やしていく。こういった取り組みを進めていきたいと思っています。
―そのためには南北を分断する国道2号線は大きな問題ですね。
これに関しては今すぐに妙案があるわけではないのが正直なところです。阪神高速3号神戸線と2号線の地下化で南北の連絡をスムーズにするのは理想的ですが、すぐには無理なことです。歩行者の利便性をどう向上させるかを基本にして、具体的な策を考えていきます。
バランスの取れたまちづくりを
―来年度は3空港一体運営に期待がかかりますね。
4月1日、神戸空港の運営権は関西エアポート神戸株式会社に移ります。安全に関わることですから、しっかり引き継ぎ円滑な空港管理ができるようにしていくのが神戸市の責任です。その後、神戸空港の利便性を高める観点から運営会社が3空港をどう活用していくのかを検討されると思います。3空港がどう役割分担して関西全体の航空需要を拡大できるのかということを検討するなかで、神戸空港に課せられている制約を考える素地ができてくる気運の醸成に努めていきたいと思っています。
―コンベンション誘致に力を入れていますが、施設整備も急務ではないでしょうか。
コンベンションセンターの整備は必要だと思っていますが、東京オリンピック開催に向けて資材などの高騰があり、オリンピック終了後の着手を予定しています。その在り方については本格的な検討を始める時期だと考えています。
―久元市長が思い描く10年後の神戸についてお話しください。
まちの姿はかなり変わっていると思います。大阪湾岸道路西伸部が完成している可能性は高く、阪神高速3号神戸線の渋滞は大きく緩和されているでしょうね。神戸空港の利活用が進む可能性も高く、三宮再生はまだ全貌は現わしてはいないでしょうがまちは大きく変わり、ウォーターフロントも変わり、それによって人と物の流れが大きく変わり、神戸の来街者が増え大きな賑わいが出てくると思います。湾岸道路の長大橋がかかり、海と陸から見る神戸の風景もかなり変わると思います。進化し続ける国際港湾都市というイメージがより明確な形をとって現れてきていると思います。
新長田合同庁舎は平成31年にオープン予定、西神中央の区役所整備や、図書館と芸術文化センター建設も完了している可能性も高いですね。神鉄鈴蘭台駅前整備は今年再開発ビルが完成し、三宮周辺だけでなくバランスの取れたまちづくりが進んでいくでしょうね。
六甲山の賑わいについてはこれから具体化を進めなくてはいけません。今後の努力がどれだけの成果を生むかが、10年後の神戸の姿に大きく関わってくると考えています。
―大きく変わっているだろう10年後が楽しみです。市長2期目もよろしくお願いいたします。