2016年
3月号
3月号
奥谷組展示資料館
宮大工の息づかい、社寺建築の“匠”にふれる
明治6年の創業から、日本国内の社寺建築の新築、修復、改築に携わってきた奥谷組。京都市南区吉祥院にある本社ビル3階には、これまでに奥谷組が手掛けてきた社寺建築の功績が貴重な資料とともに紹介されている。
この資料館がオープンしたのは平成9年。奥谷組はこれまで、京都の社寺建築をはじめ多くの国宝や重文の修復、改築を行ってきた。
「“本物”に身近に接することで、宮大工として質の高い仕事を養ってきた。将来の社寺建築のために役立ててもらえれば」と千田日出雄社長。
館内には、継手や仕口、組手、木工などが分かりやすく紹介され、宮大工の技術力の高さを伺い知ることができる。日本の伝統的な木造建築物は外観の美しさはもちろんのことだが、ふだんは目にすることのできない、組み木により強度を高めた内部の構造まで見学できるようになっている。また、檜皮葺きから銅版葺へと変遷していく屋根葺なども紹介されている。
その他にも、設計図面、大工道具、瓦、金物などが所狭しと並べられており、とくに鑿や鉋などの大工道具は、長年にわたり使い込まれた物が多く、それらを見ていると宮大工たちの息づかいまでが聞こえてきそうだ。今では製造することが困難なため、宮大工さんの中には、それらを持ち出して使用することがあるのだとか。それほど貴重なものなのだ。
「建築家を志す学生や同業者、専門家も多数来られます。ここは“建築屋の資料館”という点が、来館者に説得力をもたせるのではないでしょうか」と、榎本晋さん。
奥谷組が1半世紀にわたり手掛けてきた社寺建築。その足跡を宮大工の息づかいとともに見学することができる。
株式会社 社寺建築 奥谷組
京都市南区吉祥院向田東町8
☎075-313-6533
http://www.okutanigumi.jp