2011年
8月号
今回の交流活動を運営した、「GEDOK」のメンバーと 兵庫県パリ事務所のパスカルさん(中央)

2011年は日独交流150周年 高砂京子さんが「書」を通してドイツと交流  参加者は漢字をアートととらえ、書にふれた

カテゴリ:文化・芸術・音楽, 文化人

日独交流150周年を迎えた今年、兵庫県と交流の深いドイツのシュレスヴィヒ・ホルスタイン州とが、アートを通じた文化交流活動を企画。「高砂流・創の書」を主宰する書家・高砂京子さんは、兵庫県パリ事務所からの依頼で5~6月にかけてドイツにわたり、同州のリューベック市で、2ヵ所で展覧会と3回のワークショップを開催した。
ワークショップには、アートスクールに通う一般の人や、兵庫県立国際高校と交流のある高校生らが参加。高砂さんはやはりドイツの人にも漢字を書いてもらうことにした。それぞれにどんな言葉を書きたいかを聞いたところ「空」や「愛」「平和」などが挙げられ、高砂さんが漢字のお手本を書き、参加者はそれをまねて書くことに。「漢字には書き順や、筆の運びがある。それを教えると、皆さん楽しそうに書き始めました。墨と筆によって、漢字を書くということが、彼らにとってはひとつのアートなのです」と、高砂さん。学生たちとのワークショップでは、大きな紙を天の川に見立てて会場内に流し、参加者が漢字を書き寄せることで「文字の川」を作った。高砂さんは「私の書を展覧会で見ていただくだけでなく、実際に書いていただくワークショップというものの楽しさや、大切さを改めて感じた」と話す。高校で日本語を教える先生は、「学生たちは日本語が難しく言葉や漢字などはなかなか覚えられないが、このように文字を書くことでその言葉が身近に感じられ、すぐに覚えてしまったようだ」と感嘆。
この交流活動のドイツ側の受け入れは、市・県からの指定により、現地で女性の芸術家を応援する会「GEDOK」のリューベック支部が行なった。メンバーはすべてボランティアで、展覧会やワークショップの運営、通訳などをつとめ、言葉は通じなくても同じ女性アーティスト同士の心の交流が生まれたことにも、高砂さんは感銘を受けたという。
また、ドイツ在住の日本人が集まってつくるボランティア団体「TAMPOPO」が企画し、東日本大震災へのチャリティのための音楽コンサートが開催。そこでも高砂さんの書の作品が販売され、収益金は宮城県の女川町復興連絡協会に送られた。この団体は日本への支援を続けており、9月にはチャリティスポーツ大会を企画、高砂さんの書「愛と武道」のTシャツもチャリティグッズに。

写真のトム&グンダ夫妻とは家族ぐるみで交流
「言葉は通じなくても心は通う」と


ギャラリー入り口に漢字とドイツ語の書


今回の交流活動を運営した、「GEDOK」のメンバーと
兵庫県パリ事務所のパスカルさん(中央)


展覧会オープニングに訪れた
在ハンブルク日本総領事館領事・矢加部裕之さん


リューベックの地元紙に大きく掲載


キール市のエッシングファブリックギャラリーにて書のワークショップ。
学生達が思い思いの漢字を書く。奥の書は、高砂京子さんによる「十二支」の書。

「創の書」デザイン大賞

デザイン都市・神戸への協力行事の一環として、神戸市営地下鉄「三宮」駅と、「西神中央」駅の文字(墨字)デザインを、神戸市内に住む小学生を対象に公募。デザイン性を重視した文字の優秀作品上位3点がそれぞれの駅構内に展示された。この大賞は第10回KOBE Love Portみなとまつり実行委員会が主催し、7月17日のみなとまつりでは表彰式がおこなわれ、矢田立郎市長、井上淳也JC理事長、神戸新聞社の服部孝司取締役が賞状と盾を手渡した。

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こころと技を社会に生かす
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