7月号
KOBE DANDY NIKKE 1896 を着る|服部 敬二|NIKKE 1896
手に持ったメジャーからだけではない。
何気ない会話からも数値を導き出すテクニック。
採寸(Measurements)
お好みの生地を選んだら採寸へ。まずは総丈やチェスト、ウエスト、ヒップを採寸していくが、ウエストはジャケットとパンツで微妙に測る位置が異なる。
基本的な採寸を終えたら、その数値をもとにゲージ服を着て、上着丈、袖丈、肩幅などを採寸。ゲージ服は多数用意してあり、好みに応じた着用感を体感してもらいながら、細やかにフィッティングを行う。また、ゲージ服の素材はやわらかめで、シワの付き方がよくわかるようになっている。体型、姿勢、何気ない動きで出るシワの様子を見逃さず、そこから着用時のベストなラインを推し量るというが、これぞプロの業だ。
採寸される側はどうしても緊張してしまい姿勢が硬くなりがちだが、お茶を出しリラックスしてもらうことで心身を解きほぐし、より的確な数値を導き出す。この際には仕事やライフスタイル、着こなし方などをヒアリングし、着用するシチュエーションを考え、測定値に反映させていく。
匠とともにものづくりを愉しむようなプロセス。
ミリ単位の補正が、シルエットをより輝かせる。
仮縫い(Basting)
採寸終了後、約3週間で仮縫いしたスーツをフィッティングする。予算などの都合でこの工程は省略できるが、特に初めての人には欠かせない重要なステップだ。
仮縫いのスーツは、オーダーした生地を裁断してしつけ糸でひと針ひと針職人が手縫いしたもの。ゆえに時間と手間暇がかかっている。
ここでは採寸の結果がきちんと反映されているかはもちろん、ゲージ服との生地の違いによる微妙なラインや表情の違い、着心地などを確認し補正していく。特にチェックやストライプといった柄のある生地は、模様の入り方なども重要なポイントになってくる。
しつけ糸は白を用いているが、これは微妙なラインがわかるようにとの配慮からで、少しのズレも見逃さないための工夫だ。仮縫い状態でより細やかな寸法のチェックを行い、ミリ単位で補正していくことにより、望んでいた以上の着心地とスタイルに仕上がっていく。
職人の魂が昇華した最高の着心地。
自分だけの一着はまるで身体の一部のよう。
完成(Complete)
そして仮縫いから約1ヶ月後、いよいよ完成。もちろん、ただ手渡す訳ではない。お店でフィッティングをおこない、サイズ感やバランスなどを確認する。必要ならば再度調整をおこなうが、しっかりと採寸しているので、そのようなことは稀だとか。
お手入れの方法はもちろん、スーツに似合うネクタイやシャツなどのコーディネートのアドバイスも嬉しい。
生地も仕立ても腕利きのプロフェッショナルが手がけるスーツは、まるで肌と一体になるような着心地。袖を通すだけで心躍るジャストフィットな一着を、あなたもぜひ。
服部 敬二
服部プロセス株式会社
専務取締役
NIKKE1896 神戸店
神戸市中央区明石町47番地
ニッケ神戸ビル2F
078-335-1520
営業時間 日〜木曜日 10:00〜19:00
金・土曜日 11:00〜20:00
定休日 毎週水曜日
http://www.nikke1896.jp/