2018年
6月号
6月号
オーガニックハウスが未来へ 平尾工務店 三田モデルハウスⅡ
新しいモデルハウスの北面は、プレイリースタイルらしいシンプルな寄棟の大屋根や長方形の開口部というフォルム。タイルの色合いや貼り方でも「ハートレーハウス」の意匠を受け継いでいるが、目を惹くのはアーチのエントランスだ。強調された直線と対称的な分、アールはより優雅に感じられる。そもそもこの装飾はシカゴでのアーツアンドクラフト運動の旗手でもあったライトの師匠、ルイス・サリヴァンの好んだところで、まさに芸術的なアクセントを住まいに与えてくれる。
南~西面は二段天井に天窓というライトらしいアイデアが盛り込まれ、外から陽光を取り込むとともに、内から外への開放感に満ちている。リビングのマントルピースは実際に使用できるが、煙が出ずに空気はクリア。自然素材を用いた内装は健康的で、吸湿性も高く湿度の高い夏でも快適だ。
広い敷地に合わせたゆとりあるプランニングで、2階は居室のほかサブリビングも用意、2世帯住宅としても暮らしやすそう。また、ビルトインガレージの採用や正面から生活スペースが見えないプランなど、プライバシー保護にも心を砕いている。
スマートハウス機能も充実し、近未来的な暮らし方の提案のみならず、ヒューマノイドロボット「ペッパー」による案内も計画中だとか。伝統と最新とが融合し、流行を超越したモデルハウスは、暮らしの本質を見直すという意味でも扉を開いてみる価値があるだろう。完成予定のこの秋が待ち遠しい。