2018年
6月号
6月号
名建築から受け継ぐデザイン|平尾工務店
三田の新しいモデルハウスは、フランク・ロイド・ライトの初期の作風、「プレイリースタイル」の系譜を受け継いでいます。プレイリーとはまさにアメリカの大草原のことで、大地にくっつくような横長のフォルムと、水平を強調したラインが印象的です。この時期のライトは主に富裕層向けの住宅を手がけており、高級感があるのもまた特徴です。モデルハウスはイリノイ州に現存する「ハートレーハウス」をリモデルしました。私は実物を見たことがあるのですが、遠くからでも重厚感を感じるインパクトがある一方で、どこか自然との一体感がある建築でした。その存在感を再現しています。
一方で芦屋の分譲モデルは、あまり知られていませんが専門家の間では「ライトの宝石箱」と評される美しい建築、「メイハウス」のエッセンスを凝縮し、コンパクトに仕上げました。特徴のある窓の装飾は、現代的にスマートな感じでアレンジしています。芦屋では賃貸マンションも建設しますが、これは明治村で保存されている代表作、帝国ホテルのファサードからインスパイアされた意匠です。
いずれもライトのデザインのみならず、内から外へと有機的に連続するという思想や、住まう人の品格を示すという点も継承することも心がけました。